2010-11年ショートプログラム
マンボメドレー
ある恋の物語 / エル・マンボ / マンボNo.5
気にする人はいないだろうけど、なんで2010-11年のショートプログラムなのに、フリーの「ブエノスアイレスの冬」より後のエントリーなのかと言うと、自分がハマった時期が競技シーズン中より後、エキシビションに使うようになってからだから。
第一印象
2010年に初めて見た時から楽しいプログラムだとは思った。マンボはすごく楽しいプログラムだ。
あまりにスゴくて笑えて来て、そして「…た…竹中直人だ…」って思わず呟いてしまった。笑(映画 ”Shall we dance?” 参照)
それを隣にいた相方が聞き咎めるように(普段あんまり男子スケーターは褒めない人なんですが)、「ここまで振り切ってやってくれたら気持ち良いよ!カッコイイじゃん!高橋くんじゃなきゃ出来ないよ!スゴイ!」って大絶賛。
いや、私は竹中さんだってカッコイイと思ってるし!面白いけど。いや悪く言ったつもりじゃないから!凄過ぎて笑っちゃったって言うか!!!と内心なんでだか焦りながら、そうだね、ここまで来たらね!ってよく分からん同意を返しつつ、あれこれいつもと役割が逆じゃんって思ってた。笑
男性の相方の方が、マンボの格好良さに先に心酔したらしい。
でもやっぱり凄過ぎて笑ってしまう。自分にとってはそうゆうプログラム。
シーズン中ではスケートアメリカが一番好き。試合という事を忘れる楽しさ。
印象としてはなにしろ賑やか!
手・足・頭・腰が、それぞれに違う動きでマンボのリズムを刻む。
同系色でまとまる落ち着きとは正反対の、違う色の鮮やかな原色があっちこっちで煌めいていて、沢山のエネルギーが一緒くたになって騒いでいる感じ。迸るような躍動感。
これを演じきるのは相当ハイテンションなエネルギーが必要なんじゃないか。競技での緊張感には不向きかも知れない。よくぞやったなあと思う。
競技の時よりもエキシビションの時の方がだんだんとこなれて来て、放出するエネルギーの躍動が一段と大きくなったような気がする。これで大好きになった。
アンコールで滑る時は、後半の弾けた曲調の「エル・マンボ」(ですよね?)から始める事が多いけど、前半「ある恋の物語」のネットリした動きも俊敏な後半と対になって見応えがある。
ちょっとしたアクセントの間の取り方が小粋な感じを出していて、スローな曲調の中、限界まで体を倒して伸びやかにゆったりと大きく空間を使いながら、すごいスピードで滑っていく。粘りのあるスケーティングが、あれはサックスかな?管楽器のあのちょっと気怠い色気のある音色にものすごくハマる。
技術と表現
ステファン・ランビエールがスイスでの自分のアイスショー(Ice Legends)のトリにこの高橋くんのマンボをリクエストしてたけど、スケーターやスケート関係者にも人気の高いプログラムで、スケートに詳しい人程マンボのもの凄さにヤラレているような気がする。
解説の八木沼純子さんのマンボ好きはファンの間では有名だし、ロス・マイナー選手は試合でダイスケのマンボを見て自分のフィギュアに対する姿勢が変わったとまで言う程の絶賛ぶり。
素人目に何気なく見ていても、その動き方は尋常とは思われない。なんでそれで倒れない?って程に上体を倒して動きまくる。
ただ、どう考えてもバランスの取り方が人間としてあり得ないと思うのに、本人があまりにも涼しい顔でひたすら楽し気に踊って見せるので、自分にはそれがどれだけ難しい事なのか考える余裕がない。
跳ね回るようなエネルギーを受け取るのに夢中になってしまって、もう技術の難易度なんて考えてられない。それどころじゃない。
超絶技巧があるからこそのあふれ出る表現なのに、技巧に対して考える隙もなくただ表現されたものに夢中になる。
それって、表現としてこれ以上ない理想の手本だ。多くの表現者がその境地に憧れて目指してなかなか辿り着けないような、至高の領域。
振付のシェイ=リーン・ボーンがNHKの番組で、この高橋選手のマンボを生徒達への教本として使ってたけど、それは自分が振り付けたからという理由以上に、技術と表現の融合の理想として、突出して優れてたからじゃないかな。
マンボメドレーでの高橋選手は、全身で全力でマンボを見せながらずっと観客とコミュンケーションを取っていて、誘って煽って盛り上げて、音楽と踊る楽しさを爆発させる。
見てるだけでそこに巻き込まれて熱狂して、見終わるとスカッとした気分になれる。ひたすら楽しくて、喜びだけが残るんだ。
競技で使っていたシーズンは戦績としては本人比でそれ程でもなかったのに、「高橋大輔と言えばマンボ」と思っている人もきっと多い。それくらい印象に残るプログラム。その後エキシビションで活躍させる機会が多かった事も大きいかも知れない。
エキシビションとしてのマンボ
公式試合以外では2011年のジャパンスーパーチャレンジのマンボも客席を煽りまくって会場一体になって楽しそうだったし、2011年夏のアイスショー Friends on Iceではスケーター5人(高橋大輔、荒川静香、鈴木明子、小塚崇彦、シェイ=リーン・ボーン)で滑ったのがもうハチャメチャに楽しかった。
同じ年のカーニバルオンアイスではクライシスの次のアンコールで、2012年のメダリストオンアイスでも同じくアンコール、2013年の国別対抗戦ではブエノスアイレスの春の次にアンコール、同年NHK杯のエキシではフルバージョンで滑っている。
引退してからも2016年スイスでのIce Legendsでランビエールさんのリクエストで披露され、同年のカーニバルオンアイスでもアンコールで滑ったら客席だけでなくジャッジ達まで大喜びでスタンディングオベーション。ファンの多い大人気のプログラム。
まとめ
マンボメドレーのまとめはこれに尽きる。
楽しい!
2010スケートアメリカのSP
Daisuke Takahashi SA2010 SP - YouTube
2011ジャパンスーパーチャレンジ