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好きなプログラムを好きなだけ語る場所

高橋大輔 沼への道 step9 Vas

2011-12年ショートプログラム
"In The Garden of Souls" by Vas

デイビット・ウィルソン氏からの初の振付、曲は音楽グループ ”Vas” のアルバム ”In The Garden of Souls” から。

お見事デイビット・ウィルソン、お見事ダイスケ!と言ったのはアメリカCBCの解説者だったか。
またもやとんでもない振付が来ました。しかも競技用プログラム!

あの…振付師さん達、何かがエスカレートしてませんか???
まさか彼らの間で、ダイスケでどれだけ禁断の扉を開けられるか選手権が開催されている訳じゃ…ないですよね、まさかね。はははー笑

黒豹

私の中では、人だけど人じゃないシリーズその2(その1はバチェラレット)。
高橋選手はクラッシックをやらせても人じゃなくなるけど、あれは音楽になりきる感じで健全な気配がするのでこのシリーズには入らないかな。あ、つまりこっちを健全じゃないと思ってるのか…。

決して悪い意味ではなく。むしろ良い。すごくいい。たまらない!
惹き込まれて見蕩れてしまってものすごく心地良いのに、ちょっと落ち着かない。安全安心とは言い難いこの感じが、イイ!

特にこのプロの高橋選手の動きは猫科の動物を思わせる。黒豹に例える人が多いみたいだけど大賛成です。格好良くて美しくて、でも側に寄ったら圧倒的な力で襲われてひとたまりもないだろう感じ。
フレンドリーさはカケラもないけど、ちょいちょいこっちを誘惑してくる。
どうしろって言うんだ!!!うっかり手を出したら絶対シャーって牙を向けてくるくせに!!!(すみません、妄想の世界にまた…)


体の線に沿った衣装が余計に動物感を出してるんだけど、特に猫科っぽいのは、動き方のしなやかさはもちろん、動きの先の先まで神経が届いているから。特にシッポ。あ、高橋くんにシッポはないけど。

猫って関節の数どんだけあるのかってくらい、どこもかしこも身体の端までちょっとずつ曲がる感じで、しかも一定方向じゃなくて曲線で行ったり来たりしますよね。
シッポ部分なんかはそれが特に顕著で、ずっとシッポだけ見てても楽しめるくらい、先の先まで神経が行っていて微妙な角度でヒョイヒョイと動く。そしてなんでヒョイヒョイ動いているのかは完全に謎な事が多い。
その一瞬一瞬の曲線がたまらなくて、自分にとっての猫最大の外見の魅力はそこかもと思う。

突然に猫様の魅力を語る人になってしまったけど、自分が今しているのは高橋大輔くんの話です。
つまり、しなやかで自由で遊びがあって、そして神経が先の端まで行き届いてる。VASの高橋大輔は正にあの感じ。シッポもついてるんじゃないかな。そうじゃなきゃあんなバランス取れないと思う。(本気)

後、ほんのちょっとの蹴りでグインって移動して、そのスピードが普通じゃなく速くてビックリするのに、すごく自然で。こんな事は当然の動き、みたいな雰囲気でやるの、そうゆうとこもネコ科っぽい。
それに加えて人を寄せ付けないオーラと強靭そうなのに細身のしなやかな曲線。ネコ科の中でものイメージが一番しっくりくる。

最初の足をパンっと軽く踏む下ろすような仕草がシャープで柔らかくて、獲物を狙うような、俊敏で足音を立てない動きにまずゾクッとくる。
ぐるんっと身体をひねって見せる動作が細い腰を際出たせて、均整の取れた曲線のラインがすごく綺麗。しなやかで力強くてそして美しい!野生動物の美しさ!ってこんな感じのフレーズ前にもどっかのプログラム感想で書いたな。…ああ、やっぱりバチェラレットだ。

このプログラムでの高橋くんの動きの美しさや色気は、男性的でもなくもちろん女性的でもなく中性的でもない。あえて言うなら動物的。でも結局は高橋大輔と言うしかない。この人ホントなんなのですか???

スピンの艶やかさ

スピンがまた美しい。
特にNHK杯での速さとキレは素晴らしかった!

スピン中に入るドラムのアクセントにバッと手を突き出して姿勢を変えるところとか、突然過ぎて仰け反りそうになったんだけど、めちゃめちゃ音の鋭さに合っていて気持ち良かった。

このシーズンからすごくスピンの姿勢が安定したと思う。このプログラムのスピンでは、祈りのような、神への捧げ物のような…、曲中の原始的な太鼓の音とゾワッとするほど透き通った歌声と相まって、そうゆう神聖さを感じる。自分はシャーマン(巫師)のイメージも思い浮かぶんだけど多分このスピンの影響が大きい。

神聖と言っても、あの真っ黒な衣装と演技者が出すちょっと尖った妖し気な艶のためか、黒魔術の世界の方が近いかな…。あの澄み切った女性の歌声も、ここでは美声で船人を惑わす海の怪物セイレーンのようにも聴こえてくる。

真っ白なリンクに黒尽くめの高橋くんの動きがシルエットで鮮やかに映える。
特に最後のスピンはこう…、何かが空に登って行くような感じ。もう魂が異次元に連れてかれそうな勢いで美しい。

音への反応 特に太鼓!

あと!あと!何と言ってもたまらないのがドラムの音への反応!ドラムというより太鼓と言いたい。遥か昔から鳴り響く原始の響き。

低く重く響くその振動に連動するように、胸からお腹にかけての身体の芯の部分まで使ってドンっと動く。あの太鼓特有の音の振動が波動として可視化されてるようで見ててすごく気持ち良い。
肩から手の先とかなら分かる。それだってドラムの音のように動くのは難しいけど。ここではそれに頭の先から腰にかけての動きも加わる。足先まで一つの動きになってるから全身と言っても良いんだけど、特に胴の部分が印象的。

この身体の芯の部分で振動を起こされると、TV越しの自分の腹にも音がドシンっと響いてくるような気がしてハッとする。
しかも振動って波ですよね!一音じゃなくて!波だから!あれが身体の動きになってるの!スゴイ!!!

他にも、このドラムにピタッと合わせてバタフライで空中に跳ねるとこ、あれもたまらなく好き。
音に合わせて手や足をバンっと止めたり動かしたりするのはよくあるんだけど、ドラムの鳴る音の長さに合わせて跳ねるって!これ、滞空時間も合わせてる訳で!
しかも、ドラムの音の鳴り始めの瞬間に合わせるだけじゃなくて、残響で響く音の波と、跳ねる体の高さの波が同じじゃないですか???波の高さが。そんな事コントロールできるものなのですか?ダンサーなの?あ、ダンサーだった。いやもう、ダンサーってスゴイわー。(この時はまだダンスやってません)


ジャンプも音にはめてくる。ただ技術の要素としてではなく、プログラムを表現するための振付として必要不可欠な動きとして飛んでくる。

シャープなトリプルアクセルをスパンっと決めた後すぐに、素早く飛び跳ねるように踊る。踊りながら入っていくクールなルッツジャンプは、着氷後すぐさま逆向きに跳び上がって滑って行く。どっちの振付もジャンプがあってこそで、大好きだ

ステップはもう…もう…、何て言えば良いのか。気持ち良過ぎて呆然としてしまう。
伸縮自在で動き回るめまぐるしいステップ。
身体を折り畳んでグッと縮んだと思ったらビョンッと勢いよく伸びる。そっちに行くの?という意表をつく足の運びをしながら、細かく細かく音を拾って進んで行く。

動きとしては驚きの連続で、でもただただ美しくて、こっちは口開けてほわぁってなって観てるだけ。好き過ぎて語彙がなくなる。魂が抜かれるってこんな感じだ。でもこれでなら本望ですとも!

安定して好成績だったシーズン

何と言ってもNHK杯の完成度と動きのキレが素晴らしいけど、ショートプログラムとして怪我後初めて入った「4回転3回転」のコンビネーションジャンプを決めた全日本選手権も良かった。
世界選手権も4回転を決めて(次につけたセカンドジャンプが惜しかったけど)、全体の動きは良かった。当時のショート世界最高得点を更新した国別対抗戦も良い(ただ、自分の大好きな単独ルッツの後の振付がコンビネーションに変わった為に無い…)。

シーズンを通してだいたい安定していつも素晴らしいプログラムだった。フリーのブルースと合わせて、気力も技術も身体もとても充実して見えたシーズン。

高橋くんの纏う雰囲気も前シーズンのどことなく憂いのある艶ではなく、気力のみなぎった強い目をしていて、勢いのある力強い美しさだった。心の状態が真っ直ぐ顔に出るタイプなんだなあ。肝心な所で自分というものを誤摩化したり隠したりしないからかな。

前のシーズンの世界選手権フリーで沼に落ちた直後のシーズンがこれだったから、もう沼道一直線。ズブズブと喜び勇んでハマっていきました。幸せなシーズンだったなあ。


数々の名演技。でもやっぱりNHK杯
という訳で2011NHKのショート

2011 NHK Daisuke Takahashi SP B ESP - YouTube