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好きなプログラムを好きなだけ語る場所

高橋大輔沼への道 step4 バチェラレット

07-08年 エキシビション
Bachelorette(バチェラレット) by Björk

〜落ちたなんてもんじゃない、叩き落とされたプログラム〜

もしも高橋大輔のどのプログラムが一番好きかと聞かれたら、絶対に永遠に答えられない自信があるけど、でもこれは真っ先に候補に上がるプログラムの一つで間違いない。
つまりすごく好き。好きと言うか、ヤラレタって言うか、この人底知れないと思った。
初めて見た時は本当にビックリした。すごい衝撃だった。

狂気

Björk(ビョーク)の声や歌い方が、まずもうどこか狂気じみてる所があって(褒めてます)このプログラムの高橋くんのスケートにもその世界観が漂ってる。

そうだ「狂気」だ!
自分にとってのバチェラレットの最大の魅力はこのそこはかとない狂気を感じる所なんじゃないかな。完全な狂気じゃなくて、あくまでもおぼろげな狂気。
この世のものとは思えない雰囲気。人の形してるけど人じゃない気配。
それをヌメっとしたスケートと身体の動きで表してるんだけど、何がどうなってるんだかもうさっぱり分からない!!なんせ人間じゃないので動きの予測が全くつかないし、なんじゃそりゃ!な動作の連続、なのに一度見たらそれしかないって思うくらいハマってる。

人に見えない動作

このプログラムの場合、所作というより動作かな。
動物的な本能の動きに見えるからなのか。所作と言うほど人間ぽい装飾を感じない、野生動物っぽい無駄のない真っ直ぐな美しさ。すごく美しい!
音で例えるならサラサラじゃなくてザラッとした美しさ。動きはヌメッとしてるんだけど。とにかくいちいち引っかかってきて目が離せない、頭の中が揺さぶられるような倒錯的な美。

思い通りにならない身体の箇所はないんじゃないかと思うくらい、自由自在に身体を操って見えるのがひたすら気持ち良い。
動きのキレ、タメ、間。
あと目立って印象的なのが、力の抜き方。
緊張感を保ちながら少しずつ力を抜いていく振りや、一気にフワっと抜く振付、しかもその抜きの止め方が絶妙。音楽の中でピタっと合わせてくる。

序盤に両肩を片方ずつ落とす振付があって、あれにまず自分はヤラレるんだけど、グワンっと崩れ落ちるように力を抜く、その加減が本当にたまらない程うまい!あと高橋くんの動きの特徴でもある、首を使った動きも随所に出てくる。グルンっと回したり、カクっと止めたり。
あれだけ頭をグルングルンされると、見てるだけのこっちの世界もちょっとなんか回るのかも知れない、ちょっと酔う、ほろ酔いになって気持ちいい。

ノクターンとは全然違う、チャイコンとも、オペラ座とも、ロクサーヌとも全然違う動き。
高橋大輔のスケートはそれぞれのプロで動き方の根本が違う気がする。
音を消してみてもどのプログラムかすぐ分かるのは、自分が中毒が過ぎて振付を覚えてしまったから、ではない。本当に動きの質が違うと思う。
エキシビションだと、アンコールで違うプロの衣装のまま滑る事もあるけど、そんな時でも絶対にプロを言い当てられる自信がある。別に中毒が過ぎて振付を覚えてしまったからではない(二回目)(…でもちょっとはあるかも知れないかも知れないかもしれないけど…めっちゃ覚えちゃってるから)。

どのプログラムの動きもそれぞれ違うけど、中でもこのBachelorette(バチェラレット)はかなり特殊。
その後何度もタッグを組む宮本賢二さんの初めての振付らしい。そうか、自分はノクターン以外モロゾフさんの振付しか知らなかったからお初の宮本さんの振付が新鮮で余計に異質に感じたのかな、と一度思ったけどやっぱり違うわ、これがめちゃめちゃ特殊な事に変わりはないわ、その後色んな振付師の高橋くんのプログラムをたくさん見た今振り返っても、このプログラムの動きは際立っておかしい、いや独特。

人っぽくないのにめちゃくちゃ人間も感じる。普段生活している日常の方じゃなくて、いつもは蓋をされて気づいてもいないような精神世界の奥の方の世界。
深い底のない闇みたいな。囚われたら戻れなさそうで、何かに牙を向けられてるような怖さがあるのに、抗えない魅力があっていつまでも留まっていたいような…。健全な場所ではなさそうなのに永遠にその中に浸っていたくなるような世界。…ってちょっと意味の分からないポエムが過ぎるかな…?でもそんな言葉ばっかりワンサカ出てくるくらい訳が分からなくて、でも世界に浸りきってしまうんだー!! あーこれではかつての実況の某ポエムアナウンサーさんをもう揶揄えないよ…。
(なのに、なんで演った張本人は終わった途端にペロッと舌出して高速でいつものふにゃんとした男の子に戻ってしまうんだ!戻るの早いー。こっちはまだ全然戻れないよー。置いてかないでよー。@スケートアメリカ

同じシーズンのHipHopスワンレイク

この年のショートプログラムは、振付+コーチのニコライモロゾフさんが「高橋大輔」でフィギュアスケート界に革命を起こす為に、相当気合いを入れて作ったっぽい。で、実際そうなった歴史的なプログラム。
自分にとってはプログラムとしてと言うより、部分的にめちゃくちゃ好きなツボがあるプログラム。動きの特殊さはこっちも負けてない。ヒップホップがスケートで出来るとは!

確か前年のワールドが終わった時点で、男子フィギュアの世界ランクは高橋選手が1位。
それに加えてこのシーズンのヒップホップの衝撃と、4回転2回構成のフリー「ロミオとジュリエット」で当時の世界最高得点を叩き出して、世界のフィギュア界に高橋大輔の評価を確立したシーズン、だった。

その衝撃の競技プログラムを更に超えて来たのが、エキシビションのバチェラレットでした。自分にとって。どれだけ言葉にしても言い当てられる気がしない。このプログラムについては永遠に考え込んでいられると思う。掴めない面白さ。

まとめられないバチェラレットのまとめ

ざっくり書くと
漂う狂気

弱冠二十歳(追記:21才でした、どっちでもいいか)の彼がなんであんな世界を構成できたのか、なんで高橋大輔ならあんなとんでもない世界をやれると宮本賢二氏は思ったのか。謎です。でも思いついてくれて、この世に生み出してくれて、本当にありがとうございます!!!
その後、宮本さんの口からこれは紫のタコをイメージしたんだと更に訳が分からなくなる裏話が出てましたが、人間の動きじゃない事だけはよく伝わりました!

自分のお気に入りは
07年ドリームオンアイス,
07年スケートアメリカ,
08世界フィギュアスケート選手権

下記のリンクはスケートアメリカ

DT20071028EX - YouTube

余談

この頃までのフィギュアスケートでは、男子選手が女性ボーカルの曲で演技をする事はまずなかったらしく、そうゆう意味でも革新的だったとファンの方のブログで知りました。でも何の違和感も感じない程自然で、女性的とか中性的というのでもない、だいたい性別の前に種族が人間じゃなくなってるようなプログラムだったな。また今の高橋大輔さんのスケートで見てみたいなあ。