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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 沼への道 最終回 Krone

ブログを始めた理由の「高橋大輔沼への道」は、これで最終回。
自分が落ちてきた高橋選手のプログラムについて延々書いてきたけど、このkroneの次は既にリアルタイムで書いたPale Green Ghosts なので、ついに現在に追いつきました。

κrOnё(澤野弘之
アニメ「ギルティクラウン」より

2017年秋のカーニバルオンアイスで初披露された、高橋くん引退期間の最後になったプログラム。

震えた。

なんか…撃ち抜かれました。呆然と。

まず、演技が始まる前の、氷上に出てきた瞬間からぉぉおお?ってなる。

初めて見る衣装は、襟の詰まった全身黒のビロードのようなツヤのある生地で、どこか厳格な印象。
ロングコートみたいな長い裾に、下に重なった赤い布がチラッと翻る。
襟元に散らばった赤いビジューが、時々控えめに光を反射する。
神父?王様?

でも何よりそれを纏う高橋くん自身から出るオーラが

威風堂々
みたいな。
威圧感はないけど、存在感が強い。
あれ?って、勝手に胸が高鳴って目が釘付けになった。

氷上にスーーッと現れて、場内の歓声に応えるように腕をスッと挙げて、客席を見渡す高橋くん。
裾を柔らかく靡かせながらエッジをスッスッと滑らせて、スッと立ち止まる。(スが多い)

最初の音を待つ時の姿勢。
あれは、ポーズと言っていいんでしょうか。
両足を揃え、両腕を真っ直ぐに降ろし、正面を向いて立つ。そんな始まり。

このポーズとも言えないような佇まいが、こんなに絵になるって何事?
身体の部位の角度で出すニュアンスが、一切ない状態。
目線の角度さえ真正面。

これ普通、最も絵にならない姿勢じゃないんですか?
でも高橋くんの立ち姿は、力みも緩みもない、芯が通った自然な美しさがある。

ピアノの音が静かに始まって、ふっと振り向くように斜め上を高橋くんが見上げる。

この人が氷上に居れば自分は大抵いつでも釘付けになるけど、この時は何て言うか、ブッチギリに貫禄があって、一気に期待がブワ〜ッときた。息止まった。

高橋くんがゆっくり腕を伸ばすと、途端に空気に重みが出る。
空気に形が見える。見えるんです。なんでだろう。

タン、タン、と鍵盤を叩く音のアクセントと一緒に、一つ一つ切り替わっていく様な振付。一連の動きのつながりの間に、クンっと跳ね上げるようなアクセントがあって、その度にこっちの心臓も跳ねる。
その緩急の波が…絶妙!!!
あっという間にノックアウト。
前のめりで入り込んで、既に息の仕方が分かりませんっ!

高橋くんから放射状に広がってく空気に喪失感が充満してて、胸が締め付けられる。
強いのに悲しくて荒涼としてて、衣装の黒が喪服なのかと一瞬思った。
真っ黒なくせに柔らかくなびく布の質感が、嘆きのような慰めのような。
黒の下から覗く赤い裾は、血のようでもあり微かな希望のようでもあり。
どっちにしても胸が痛いー。

足元の世界も無限大∞
やわらかに音も無く滑るようなスケートで、はためく裾が疾走感を際立たせる。高橋くんの足元から滑らかな曲線が音と一緒に描かれてく。
そのカーブとスピードの緩急が音楽そのもので、プログラムの切なさと痛みを増幅する。

そして
ステップきたー!

激しくなるピアノの音と一緒に、リンクを突っ切るようにぐんぐん進む。
ゾクゾクする。

差し伸ばした手は、何かを掴めたのか。掴めなかったのか。
追い求めて振り解く。
立ち向かって蹲る。
低いピアノのうねるような響きが、心の葛藤にも聴こえる。

とにかく圧倒的に
痛い。
激しく、切なく、優しく、生々しく
痛いんです。
なんで???

ピアノの音って、木のような優しい温もりも出るけど、この曲では硬い金属みたいだと思った。
ガラスが割れる感じとか。
すごく綺麗な旋律だけど、なんかイタイーって思ったら、高橋くんの動きがその痛みを倍増しのマシマシにしてくるのです。
キンって斬りつけられる感じ。なにこれ。

鍵盤を叩きつけるような音と一緒に高橋くんがガンッと腰を折り、真っ赤な長い裾が一瞬で捲れ上がって高橋くんの体を覆ってしまった時は、本気で血飛沫が見えた。何回見ても心臓が縮こまる。どうしようと思う。ホントに。

スケートの重みと滑らかさがなんかスゴくて(なんかスゴくて…)、それがそのまま傷みになって心を抉ってきて。なんですかこれ。
細やかな指先とかそうゆう上体の表情も胸にクルんだけど、それより、低い重心の方からクル圧力も半端ないってゆうか。
空気が歪む。ググググッて。

私見・闇プログラムベスト3に入るプロ。
暗くて痛くて病んでて苦しい!けど美しい!

人間て、綺麗とか強い部分だけじゃない。
そこを深追いして表現するのは、どちらかと言えばスポーツより、アートの世界観なのかなと自分は思う。
で、この高橋大輔って人は、アート寄りの世界に惹かれていく人なのかも。
特に引退中は試合じゃないからか、そっちの世界がより深まった気がする。

2018年高橋選手復帰のフリーを振り付けた、リショーさんにも言われてたけど、フィギュアスケートでダークな部分を演じられる珍しいタイプかも知れない。
(ちなみにそのフリーは、ついに試合でもダークさが前面に来るプログラムでした!強さと闇の合わせ技。今期続行での進化が楽しみです!)

高橋くんは、「マンボ」や「キャラバン」のような、振り切れた陽気さもばっちりハメてくるし、高橋大輔の演技と言えば、自信満々の楽しいイメージを持ってる人も結構いるのは、それだけ彼が、そうゆう魅せ方も上手いって事だ。

でもやっぱり、ダークな方向に行くと…、ホント底知れない。底無し。
暗闇とか血が噴き出すような生々しい痛みとか。(それは私の妄想か)
なんかそんな感じのものを、とても美しく見せてくる。
視覚的にはこの上なく美なのに、伝わってくる痛みがそのまんまで。
終いには美しさが痛いってゆう。

…どーなってんだろう。

そして、これは、高橋くんの引退中の他のプログラムと何かが違う気がした。
飛ばしてくるが格段に多い。

しみじみ滲み出るものに浸る感じじゃなくて、有無を言わせない圧倒的な空気。
なんていうか、輪郭が強い。
出てきた瞬間からあれ?って思ったけど、どんどん確信する。

これはアレじゃないですか。
自分が虎視眈々と待ってたアレじゃないですか???

彼のスケートへの焦点が定まってきたのかなと勝手に思った。
なんかギア上げた?みたいな。

作る空気の圧力がグオッと来て、観客へ届ける意思がまた強くなった気がして。
これは「次の」高橋大輔がキタ!って感じてワクワクした。
こりゃスゴイ事になるぞ、とうとう動き出したぞって。

なんて思ってたら〜
そっから3ヶ月も経たないうちに、高橋くん競技者への復帰を閃いちゃったんですね。
いやちょっと閃き異次元過ぎて、私の妄想では追いつかなかったデス。フハハハハー😂

折しもあのキラキラの復帰会見から、丸1年が経ちましたが。
何度思い出してもあれには驚く。そして笑う。で、元気になる☺️

いつまで経っても、自分にとって高橋くんは、謎だらけ、驚きだらけの人です。ああ楽しい。

kroneは昨年全日本のエキシビションでも滑ったプログラム。
自分は最初のCaOIでの衝撃が強過ぎて、やっぱりこれが一番よく見返す。
その年のクリスマスオンアイスのも、とても好き。

結び

さて、昨年春に突然思い立って始めた、自分の高橋沼への道の話。
始めた理由は、なんで自分は高橋くんのスケートにここまでハマったのか、書いてみたらちょっとは分かるかなと思ったからなんですが。
20プログラム以上の感想を書いてみて分かったのは、「そんな事はワカラン」ってことでした。むしろが深まりました。

高橋くんて、複雑で多面的で奥が深くて底が知れなくて、入り込む程にこんがらがる迷宮みたいな。
しかもその迷宮、現在進行形でちょいちょい変化するので、余計に迷子になってしまうとゆうか。
でもどこにぶち当たっても最終的にはしみじみ「好き…」ってなるだけなので、まあイイや。☺️

しなやかに自由に変われる柔らかさと、テコでも動かない頑固さと。
不思議なバランスで、知れば知るほど楽しい。

とにかく楽しかった。
思ったより時間はかかったけど、ついに終わっちゃって寂しいです。

でもまた番外編とか書き始めたりするかも知れないかも知れない。
リアルタイムより数年後にハマった、Luv letterみたいなプロもいくつかあるし。

何より、高橋選手は今も変わらずというか益々キラキラ魅力を増してるし、何しろ氷艶もやってくる!

なので、これからもブログはちょいちょい書いてしまうような気がします。

でもとりあえずの区切りとして、今まで読んで下さった方々、ブログやTwitterでコメントや反応を寄せて下さった方々、本当にありがとうございました。
書くだけでも楽しかったけど、読んでもらう事、言葉をかけてもらう事が、すごくすごく嬉しかったです。
本当にありがとうございました。

スマホも持たないアナログ人で、SNSは一生縁がないと思ってたのに不思議だ。ホントはやりたかったのかな。笑
でも、高橋くんが好きじゃなきゃ絶対やる気にならなかった。
好きは人を変える、をしみじみ実感しました✨