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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 沼への道 step15 I’m Kissing You

I’m Kissing You (by Des'ree)

2014年2月のソチ五輪の後、高橋選手は怪我の悪化で3月の世界選手権を欠場。
ドクターストップで少しスケートを休んだ後、高橋くんが初めて人前で滑ったプログラム。(2014年5月)

叶わぬ恋。届かぬ想い。それでも届けたくて消せない恋情。
こんな狂おしいやつを”あの時”の高橋大輔さんに演られたら、こ、こっちの胸が引き裂かれてしまうです…!


高橋大輔 I'm kissing You

以前全日本での「道化師」のプログラムについて考えてた時に、高橋大輔って人はいつも観客とコミュニケーションを取ろうとする人なのにあの時はしてなかったなと思って、でも伝わって来る力はすごい強いし、じゃあ演説かな、でも独白の方が近いかな?…とか、そんな事をツラツラ思って書いた事がある。
そしてその分け方でいけば、この ”I'm Kissing You” は完全に独白だと思う。

独白系は辛いからもういいよ…って思ってたのに、やっぱりこうしてくると見ずにはいられない魅力。特に初お披露目となった臨海スポーツセンターでの演技は、欠片のニュース映像しか見てなくても、胸を掻きむしられるような痛みと辛さで、でも目は釘付けになった。

ソチオリンピックの後、現役最後にするつもりだったらしい日本での世界選手権を怪我の悪化で欠場。ひとまず翌シーズンの休養宣言をしたあの頃。
高橋くんは、観客と感情をやり取りして繋がろうとするような心の気力が残ってなかったんだろうな。
だからひたすら内向きに音楽の中に籠って滑れるプログラムにしたのかも知れない。
なんて正直者なんだ。いやよくは知らないけど。

高橋君は本来、観客とのやり取りをすごく大事にしてると思うし、会場のお客さんと感情をキャッチボールできたと感じた時に喜びを感じると本人も話してる。ライブの芝居や落語のように、観客との呼吸の間も合わせてくる感じ。

でもI’m Kissing You(特に臨スポの演技)では、基本的に観客と繋がろうとしていない…んじゃないかな。音楽との繋がり方は変わらず尋常じゃないけど。

そして、観客に自分を曝け出して見せる所は変わらない。
数ある感情の中でも特に柔らかくて傷つきやすい部分を、ボンって無造作に投げ出された感じで、不安でハラハラしてでもすごく綺麗でずっと見てたかった。
息苦しい程の痛みだけど、全部余さず見たいという欲求…。何でしょうかこの自分の強欲さは!

辛い、けど、見たい、のは多分それが純粋で綺麗だったから。
嘘がない感じ。取り繕ってない感じ。貴い。
対話をしてなくてもこっちを見てなくても、覆いがない。

臨スポはショー自体の放送はなかったけど、いくつかのニュース番組で演技映像の欠片が流れたお陰で自分もちょっとだけ拝見できた訳ですが、どこの局だったか、ニュース原稿を読んでた男性が高橋くんの演技に、一瞬呻くような声出したのを覚えてる。
確かシャツをギュッて掴む振付の場面だったかな。「うっ」って。
トテモワカリマス!って飛んでって握手したい気分になったからよく覚えてる。(幻覚デショウカ?)
このKissing Youは、欠片映像だけでもやたら突き刺さるプログラムだった。

高橋くんって、いつもは相手に伝わってるかどうかを相手を気にかけながら見てる感じだけど、この時みたいに対話の意思がなくても、表現の伝播力は変わらず全開でとんでもない威力なんだな。

もしかすると、いつもの演技では音楽そのものの感情を見せているから気にならないものが、音楽の中に彼自身の生身の感情を強く感じた時に、あの守りなしのだだ漏れ具合が不安になるのかも。私が。

同じプログラムでも、放送として残った幕張のFantasy on Iceの映像では、だいぶ魅せる表現として確立されてきていて、初披露の臨スポの時のどうしようもない苦しさは薄れてるみたいだったけど、やっぱりすごく切なくて苦しくて、そして見蕩れました。
動きの一つ一つが痛いくらい現実味を持って迫ってくるのに、すっごく透明で綺麗だった。なんだろうあれ。

それでも回を重ねる毎にあの抉られるような痛みは薄まっていって、こうやって演技をする事で高橋くんの何かの傷が少しずつ癒えているのかなあ、そうだったらいいなあと思って見てました。

きっと精神的にかなり辛かった時期の演目。それでも立て続けにアイスショーに出演し続けた時期。
あの頃の高橋くんの美しさというか…無意識に匂い立つような色香は、高橋くん史上でもかなり群を抜いていた時期だ(私の中で)。
自分が感じる色気って繊細さの上にこそあるので、弱さとか陰りから色気を感じるっていうのもある。危うさとか儚さとか。

多分、ただ弱ってるだけならあの雰囲気の色にはならなくて、辛さや苦しみや痛みを、誤摩化さずねじ曲げず、あるがままに抱えている強さというかプライドを感じて自分は引きつけられたのかな。

ソチオリンピック後から高橋くんのファンになった方も大勢いらっしゃると聞きますが、自分も以前から好きではあったけど、自分自身に戸惑うほど高橋くんが気になって仕方がなくなったのはこの頃からだったと思う。

ソチオリンピックまでの演技がいくら素敵でも、すぐに休養〜引退になって全然試合には出てないんだし、その後のアイスショーでは怪我した膝は万全ではなかったのに、なんであんなにどんどん引きつけられたのかなって考えると…

高橋くんのあの頃の魅力は、あの時にしかない独特のものがあって、それは多分彼の、自分の傷にしっかり向き合う姿勢が形作ってたものなのかなと、今になって思う。

高橋くんがジュピターの真央ちゃんに向けて使った、"触れたらあかん"と思うような種類の色気に似たものを、この時期の高橋くんにも感じたなあ。
それがそのままスケートに出てて、儚くて壊れそうで強くて美しくて魅力的だった。…うまく言えないけど。

臨海スポーツセンタースケートリンクとの縁

この、高橋選手ソチオリンピック後の初プログラム「I’m Kissing You」は、臨海スポーツセンター(臨スポ)でのイベントが、初お披露目だった。
で、ちょうどこのプロの感想を書こうとしてた所に、臨スポからニュースが入ってきました。
来月10月14日(日)開催の、「臨スポ改修工事完成記念イベント」に高橋大輔選手ご出演だそうです。(詳細は http://rinkai.rocket3.net/ )

4年前、I’m Kissing Youを披露したあの時は「臨スポ目標達成御礼フェスティバル」。
耐震性と老朽化で廃止の危機にあったこのリンクを、必死の募金活動で存続の為の目標額に達した、御礼イベントだった。

あの時から4年経って、高橋くんの競技への復帰戦のタイミングとほぼ同時に、今度は全ての改修工事が完成したんですね!感慨深い。(もうちょっとタイミングが早ければきっと町田くんも出演してたんだろうな…。)

ところで
、この臨スポ存続活動に果たした高橋君の尽力はかなり大きなもので、高橋くんの数ある漢前エピソードのうちの一つなので、声を大にして、その時の状況をおさらいしたいのです!自分のために!

まずそもそも、期限内に募金などで目標金額を集められれば大阪府補助金を出すという府知事の言葉を引き出し廃止の決定を保留にできたのは、高橋選手の直訴があったから。
そこで提示された1億5千万円という巨額にめげず募金活動を続けられたのは、もちろん沢山の人達の力だ。
でもその中でも1億円以上の多額の寄付をされた匿名の篤志家が募金を決めたのは、もともとフィギュアスケートには詳しくないその方が、たまたま彼等の活動をメディアで伝え聞いて関心を持ち、高橋大輔選手に直接会って彼の真摯な訴えをしっかり聞いたからこそ(新聞記事によれば2時間!)で、これがなければ目標達成はさすがに不可能だった。

その後、あと少しとなった目標金額の為に続けられた募金活動も、高橋くんは現役のトップ選手として先頭に立ち、沢山の人達の協力を得て目標に到達、施設の存続が決まったそうです。
本当に奇跡のような過程を経てのリンク存続だったんですね!!スゴイ!!
村上佳菜子ちゃんや、鈴木あっこちゃん、村主さん、臨スポ練習生だった町田樹くん、田中刑事くんなど、沢山の選手達が支援活動に関わられていました。

今や世界のトップで活躍する友野一希くんも、このリンクで育ったんですよね。存続の甲斐がこんな形でも見られて、関係した方々は嬉しいだろうなあ。

そしてこの度、改修工事も全部終わり、今月末にいよいよリニューアルオープンになったと。リンクも広くなったそうです〜。めでたい!

で、そのお祝いの「臨スポ改修工事完成記念イベント」(10月14日)への高橋選手出演のお知らせを昨日見て、改めてしみじみ。

10年以上前に高橋くんも練習拠点としていたスケートリンク

ソチオリンピック後、初の演技がここでのアイスショーで、競技者への復帰後初のアイスショーがまたこのリンクなのか〜。
今度はあの時の切ない演技ではなく、全然違う新しい高橋選手が見られるんだな。ああ嬉しいなあ。(欠片でもTVで見られると信じてる)

ちょうどツイッターで臨スポに関しての昔の記事が紹介されてたので、まとめてリンク。貴重な記録を掘り起こして下さった皆様のお陰でまた当時の感動が甦りました!

◆当時の詳細は臨海スポーツセンター支援の会のHPに
http://rinkai.rocket3.net/daisukeretire.html

◆ブームスポーツ編集部ブログ(目標達成後の府庁訪問)
No.1から3まであって、2ではリンク拡大のお願いの話も出てる
http://www.boom-sports.com/archives/52170913.html

◆ライターの松原孝臣さんの記事は何度読み返しても素敵な記事

news.mynavi.jp