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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 沼への道 step12 ブエノスアイレスの春

大好きな人を応援出来る日々を一秒たりとも無駄にするまい。

という訳で、これからも隙あらば高橋大輔選手を凝視、じゃなかった、応援!していきます。
今は何と言っても、チラチラと漏れ聞こえる新プログラムの全容が気になるけど、このブログではまだしばらく、自分がハマっていった過去のプログラムを一つ一つ、語りたいだけ書いてきます。

次はブエノスアイレスの春!と書いてからちょっと間があいたけど、宣言通り、この2012−13年シーズンのエキシビションナンバーを。

ブエノスアイレスの春 by アストル・ピアソラ

やられました。
タンゴ×高橋大輔

高橋選手、4曲目のタンゴ。

過去のタンゴは
・05-06年「ロクサーヌのタンゴ」ボーカル無し
・06-07年「ロクサーヌのタンゴ」ボーカル入りEX版(振付:ニコライ・モロゾフ
・09-10年「eye」(振付:宮本賢二
・10-11年「ブエノスアイレスの冬(四季)」(振付:パスカーレ・カメレンゴ)

最初のロクサーヌをボーカル入りとナシで2つとすれば5プロ目。全部色が違う。

今回はブエノスアイレスの春。eyeの宮本賢二氏振付。

曲としては、アレンジされた音源のパーカッションの軽妙さが最初は気になったんだけど。

なんせ動きの艶やかさが絶品。とにかく見ないともったいない。
ホントはタンゴの国で生まれたんじゃないかってくらい、タンゴの情感を持ってる人だ。お母上の胎教音楽がタンゴだったとかそんな話はないですか?なんでこんなにハマるのか。

タンゴの所作

まず足の跳ねっ返り(みたいなやつ)でタンゴ!って思う。あの明朝体レ点みたいなやつ。ヒョイって跳ねてピンッてなってスッと切れるアレ。
音を消して観ててもそう思う。
タンゴ踊った事もなく詳しい訳でもない自分がなんでそう思うんだろう。音楽の雰囲気と動きの形が本当にピッタリハマって見える。

脚捌きだけじゃなく、腕や手の撥ねるような動き方も印象的。ビンって音がしそうな動きでバネのように撥ねる。でも女性を支えるような振付部分の腕はふわっと優しい。この緩急がたまらない〜。タンゴ❤️
そして所作のキレとキレの合間が、たわむのが好き。しなるというより撓む感じ。これが艶っぽい。すごく好き。タンゴ❤️

一瞬一瞬の動きが一つ一つパンッパンッと鮮やかに、どの瞬間も切り取れるみたいにピシッと形として見せてて、でも全ての所作が連続で滑らかに繋がってて、それがとにかくとても気持ち良いのです。

今更だけど、本当に音を表す天才。ほんの少しの間、少しのタメ、少しの角度、その使い方のセンスが 圧倒的!
なんだろうかこの人。(この感想何回目?)

目線

あと目線が色っぽい!
観る人を意識したその視線の、動かし方や残し方の余韻がやっぱりタンゴ!

タンゴが色っぽい音楽だから、音に浸る高橋くんはタンゴをやると当然動きも目線もめちゃめちゃ色っぽくなる訳で、そして更に音楽の艶やかさを増幅させる、と。

目線と言えば、カナダの大御所スケーター、カート・ブラウニング氏がいつだったかのTVの解説で、高橋選手の会場への目線の飛ばし方、観客との繋がり方が素晴らしい、みんなお手本にすべきだって褒めてたけど、これ本当に出来そうで出来ない事だなって思う。

視線で観客をなぎ倒す。
高橋くん観てるとしょっちゅうやってるからなんか当然の事な気がしてくるけど、普通に考えてどうしたらそんな事が出来るのか、自分がやれって言われたら絶対途方に暮れる。そんな機会ないけど。ホントすんごい力だ。

会場で見た人達が、自分のために踊ってくれていると錯覚するって言われてたのを見た事があるけど、いいなあ、それ感じてみたいなあ。
観客のためにスケートをする。
彼のスケートからはいつもその意識を感じるし、だからこんなに巻き込まれるんだろうな。
TV観戦の自分でも、客席に視線を飛ばす高橋選手から会場を一体にさせるオーラを感じる。

目線のポイントがハッキリしてるのかなって思ってから、平昌五輪前の特集映像をふと思い出す。そうか、この目線、高橋くん意識的にやってたんだ!

確か全日本選手権前の田中刑事選手の特集映像で、高橋くんが彼の練習を見てた時、目線について身振り手振り熱心にアドバイスしてた。
あの時驚いたんだ。そんな風に細かく考えてやってたんだなって。
たくさん舞台とか見て研究したのかな。

自分が、彼は天賦の才があるから自然とやっちゃうんだろうな〜と思い込んでる他のあれやこれやも、実は意識的に研究して考え抜いて磨き込まれた技術だったりするのかも知れない。

魅せるための工夫とか技術。それが完全に表現に落とし込まれてるから、すごく自然で、ボーッとしてる自分なんかはただそれに見蕩れてしまうだけになるけど。ほんとに気もち良くて。

以前高橋くんがフジTVのナビゲーターやってた時に、当時ジュニアだった友野一希くんの良さを「人(観客)を置いてけぼりにしないところ」と嬉しそうに褒めていた事がある。あれはつまり、本人もそれをすごく大事にしている人だって事だ。

高橋くんや友野くん達は、観客とつながる事をすごく大切にする。
人(観客)と一緒にいて感情をキャッチボールして一緒に空気を作ることに喜びを感じる人達なんだな。ああ、好きだなあ

目は心の窓なんて言葉もあるけど、ここにプログラムの魂みたいなのがのってるかどうか、例え表情が見えてなくても、目線が合う位置にいなくても、ちゃんと感じるんだな。
目の演技っての演技。氷艶で代々木体育館の天井席から観てよく分かった。
そりゃしっかり表情が見えた方がより分かるけど、見えないくらい遠くからでも目線の強さや深さって、演技にはっきり出る。

衣装

衣装も好き。
黒い上着風の上衣で、ウエストを細いベルトで留めてるようなイメージ。
で、全身真っ黒な衣装のその上衣の短い裾の裏だけが赤い。動く度にこのがチラチラと見えてこの見え方がカッコイイ!

この衣装を真似て自分用に作ったスケーターを何人か見た記憶があるけど、うんうん、これ良いですよね〜。上着っぽいデザインだけど、ドレスシャツのような華奢な生地でレースが入ってたりして、でも色はハッキリしたチラリズムの隠れた。そのコントラストがなんか倒錯的な艶があって好き。

スケーティング

高橋大輔選手のスケートはプログラムによって違うけど、同じ曲の中でも音の雰囲気によって、スケートリンクの状態が違って見える。

このプログラムでは、女性と二人で踊るような振付部分なんかはリンクがキャラメルになる。粘りがあって甘い香りがして口溶けが良いなめらか〜な美味しさ。
氷じゃなくて、もっと温度の高いものに見える。人肌くらいのぬる燗。

ステップで氷を派手に蹴散らしながら右に左に動きまくる部分では、一面にあったはずのなめらかキャラメルは姿を消して、長瀞の天然氷みたいなツヤツヤで柔らかめの氷になる。そこから美味しそうなシャーベットが削られていくの。
表面がしっとりなめらかな真っ白な氷の時もあれば、シロップが蒔かれたような粘りのある氷の時もある。

…なぜか妄想がどうしても飲食の方へ行くんだけど、高橋くんが滑ってる時って、大抵リンクがなんか美味しそうに見えるんだ自分には。いつもって訳じゃないんだけど。
氷に横たわる振付の時は、マシュマロのように見える事もあるし、ひんやりした鏡のような時もベルベットの布の時もある。

細かい感情のニュアンスでスケートの質を変えているのかな。
以前振付師の宮本賢二さんが「楽器の違いをスケートで表現できる」と高橋くんを評した時に、高橋くんは「そうなんですか?」って他人事みたいに答えてた時があって、どうも本人としては音の違いを出してるつもりではないのかな、と思ったんだけどどうなんだろう。自然とそう動いちゃうの?

直接に音じゃなくて、音を通して感じる感情の方に集中してるのか、それとも別の何かを意識しているのか、聞いてみたいけど聞いた所でやっぱりよく分かんないかもな。

Don't think. FEEL!

ですかね。(笑)


素晴らしい演技はいっぱいあるけど、特にお気に入りは2012年メダリストオンアイスと2013年ジャパンスーパーチャレンジ。そうだ、カーニバルオンアイスのも素晴らしかった!マンボとセットになった国別対抗戦のも好き。

ブエノスアイレスの春のまとめ

 

あなたが落ちた高橋大輔選手は何ですか?

 

テン君。

ちゃんとしようって決めたはずなのに。まるでちゃんとしてない言葉を書き連ねます。
見て下さる方には甘える事になってごめんなさい。吐き出させてください。

 

7月19日にフィギュアスケートデニス・テン選手が亡くなった。
カザフスタンの大都市で、強盗に遭遇したのが理由だ。

21日には彼の地元アルマトイで、市によって葬儀が執り行われた。
日本でもカザフスタン大使館で献花と記帳を受け付けていた。

最初にあの知らせを見てからもう4日も経った。

時間が経てば落ち着いて、気持ちが静まるのかと思ったけど、時が経つに連れてこれが事実だって事をだんだん実感してくる。
ただ呆然としていた最初の頃よりも、日常の中のふとした拍子で、どうしようもない現実を思い出して感情が暴れ出しそうになる。

こんな事があってたまるか。
理不尽な世界へのやり場のない怒りとどうしようもない無力感と。
時間が経てば経つ程悔しい。おさめられない。

なんで時間は巻き戻せないのか。
なんでこんな事を。

なんで!!!!!!!

自分が何に怒ってるのかさえ分からない。
自分に怒っているのかも知れない。
何も出来ていないちっぽけな自分。

何でも出来ていろんな事をしていて、
でもそこに至るまでにとてつもない努力をして来たテン君。
人のために尽くしていたテン君。

彼がこの世にいる事がどんなに沢山の人のためになるか。
どんなに世界を潤してくれるか。

それを
こんな。
こんな事


それでも日々は過ぎる。
自分は彼の家族でも、近しい友人でもない。
一方的にメディアを通して知っているだけの遠い国のあかの他人だ。
生活は変わらない。

でも世界は変わってしまった。

 

生きているってすごい奇跡でとんでもない事なのかも知れない。
自分が生きている事。大事な人がいて大好きな人達がいる事。

自分の生活を大事にして。
そう言っていたテン君。

毎日をもっと大事にしなきゃ。
今ある大事なものを大切にしなきゃ。

災害もある。人災もある。
テロも。事故も。犯罪も。病気も。
命はどれもみんな儚い。
だからこそ。

 

テン君。

でも嫌だ。
こんなの嫌だ。

違う世界線があるんじゃないか。
こっちの世界線はイヤだ。
何とかできないのか。
そんな莫迦みたいな事を考えては現実に打ちのめされる。


世界には大切なものが沢山ある。
目の前にある生活を大事にしなきゃ。
テン君の言葉を思い出して必死に唱えてる。

大好きな人がいる。
彼らが頑張っている。
自分とは比較にもならないもっとずっと辛い気持ちの中で、日々懸命に頑張っている。

もっともっと辛い人達が頑張ってる。

前を向かないと。

自分にできることを。

 

テン君。
ずっと尊敬しています。

毎日を大事にする。
大切な人達を大切にする。
大好きな人を全力で応援する。

テン君の生き方を見習って、自分に出来る事はそれしかないと思うから、それだけ頑張る。

頑張らないと。

 

でも悲しい。

悲しい。