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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 全日本のシェルタリングスカイ

高橋大輔選手の復帰第1戦目の近畿大会と、2戦目の西日本大会は、フリープログラム「Pale Green Ghosts」についてばかり感想を書いてしまった気がする。
第3戦目の全日本選手権ではついにショートプログラム「The Sheltering Sky」にノックアウトされましたウィルソンさん!(振付が David Wilson デヴィッド・ウィルソン氏)

The Sheltering Sky(シェルタリングスカイ)
作曲:坂本龍一

美しく静かに始まるピアノの音と一緒に、流れるように彷徨うように動き始める、その一つ一つの動きが途切れなく美の連続で、なんてゆうかなんてゆうか…ただただ美しい
スケートのスピードと滑らかなエッジの流れと身体の動きの全部が隙間なく流麗で、幻想の世界に一気に連れてかれる。

リンクの上で高橋くんが動くと、空気の質感も色も匂いも密度も、なんもかんも世界が変わって見えるんだ。
あれ、やっぱり魔法だと思う!魔法ですよ!!
あれを全身に浴びたくて、息を詰めて見入ってしまう。(既にあまり正気ではありません)(魔法にかかってるからー)

高橋大輔と音色

情緒的なピアノの旋律に弦の音が加わると、高橋くんの纏う空気が変わる。弦の音の空気になる。ここが好き。
静かに加わったヴァイオリンが、少しずつ少しずつどんどん高音になっていく。細く高く響く弦の音。

美しいピアノの主旋律よりも、むしろどこか不穏なこのを強く見せてくる所が、もうさすがウィルソンさすが高橋大輔!その感性にやられるんだ!

そうか。そっちが肝だったんだ。この曲が自分の心に大きく引っかかってくるのは。

弦の音色が遠い世界からの叫び声のようにも聞こえる。
かと思えばグッと低くなって眉をひそめるみたいに響いてきたり。
美しいのにどこかザワザワするのはこの音色の所為だ。

曲を聴いてるだけだったら多分無自覚のままだった。
彼の動きを見て、気づいてなかった音に気づいたり、自分が惹かれてる音の正体が分かるみたいな事がよくあって、不思議だし面白い。
高橋くんが、一音一音の意味を視覚化して増幅してくれてるからかな。

ただ音楽を視覚化するだけじゃなくて、増幅させる。何か増える
高橋くんの身体から、音楽に何かが加わって出てくる(としか思えない)。

弦の音が伸びる時にフワッと伸ばされる髙橋くんの腕から、音が解放されていくのが見える。(見える!
その腕の伸ばし方で、音が変わる。
響きとか色が違ってくる。そうゆう動き方をする!(正気のつもり

録音された音源なのに…なんでこんな事が起こるんだろう?
音って聴覚だけじゃないって事かな。
視覚からくる音。

高橋大輔が音楽そのものになるという、ファンならよく聞いた事のあるあの言葉を、めちゃめちゃ実感するプログラムだと思った。

音楽に合わせてるんじゃない。
高橋大輔が音楽なんだ!
散々言われてる事だけど、本当に本当にそう言うしかない。他に言い方を思いつかない。
高橋大輔の動きから音楽が出てくる。

あらためて
わけがわからない

動きと感情

そしてステップ。
The Sheltering Sky のステップ。

その直前のスピンから、時間が一瞬止まるような無音の間が切れ切れにある。
スローモーションのような間。
そこでの一瞬の振り向きざま、手を差し伸ばしフッと漏らす笑みが…!

本当に一瞬だけの笑顔。笑顔?
諦め?寂しさ?訣別?え、今のなに?(って何回見ても思う)
幻みたいな儚い表情にこっちは心臓が止まるんだけど。
けど心臓押さえようとする間もなくステップが始まってまた次の展開に持ってかれる。

何かを思いっきり解き放とうとするような大きく動く空気。胸がぎゅーーーっとなる。
あのステップを観てると、自分が強烈に何かを希求してる人になった気がしてくる。不思議。
音楽は感情なんだな。高橋くんのスケートは感情。観てる自分が入り込んで体感してしまう感情。

11月のレジェンドオンアイスでは、何かを追い求めて途中で手放していくような切なさみたいなのを感じた。
全日本でのステップは強さを感じた。強く求める気持ちと、強く捧げる気持ち。
切ないんだけど、曲が終わってポーズを解く前に見せた笑顔も相まってか、なんとなく清々しい印象もある。
見終わって、自分の中の何かが洗い流された感覚。その余韻が心地好い。

その時々で微妙に違う、生きた感情。
これが高橋大輔という人のスケートなんだなあ。これが高橋大輔を永遠に見たがる自分の理由の一つなのかなあ。

本当に本当に、私は、高橋大輔って人のスケートが、好きだなあ

動きの滑らかさ

あとですね!
身体の使い方が以前にも増してとんでもなく柔らかくなってる気がする!(体が柔らかいって意味じゃなくて動かし方が。)
全部柔らかいんだけど特にすぐ目についたのが手首から指先
もともと手の表情がすごくあるスケーターだったけど、更に幅が増えてると思う。
なんかこう、動きと動きを繋ぐ点の数がめちゃめちゃ多くて、動かすスピードのメーターがめちゃめちゃ細かいの。かつ絶妙に力が抜けてる(ように見える)!なんで?なんでその全てが一遍に起きるの???
コレ前からスゴかったけどもっとスゴくなってる。どうなってますかあれ???

めちゃめちゃ繊細で細部まで神経が届いてるのに、作られた感じがない。
あらゆる動きが自然
絶対不自然な体勢のはずなのにそれを感じさせなくて、ただそれぞれの動きの魅力が伝わってくるだけって、すごいなあすごいなあすごいなあ。

この表現の力は、引退中にダンスの舞台や歌舞伎の所作を経験した事で、更に伸ばして来た力なんじゃないかな。
ありがとうLOVE ON THE FLOOR(ダンス)、ありがとう氷艶(歌舞伎×スケートのコラボショー)!
あの結晶が今の高橋くんの中にあるんだな。

その上、1シーズン競技者としての生活をして、身体的にも出来る事がまた増えてってる。
つまり
これからの高橋くんのスケートが(も)楽しみ!!!
(この結論何回目?)

さあ、次の高橋大輔さんのスケートを見られるのはいつですかーーーーーー???

 

あ、あともう一個だけ。

衣装について

高橋くんって髪の毛の先まで演技してるって今までも思ってたけど、今回、衣装の裾の先まで演技してるって思った。

あの紺碧と白の下地が、ヒラヒラとスピンで揺れるあの揺れ方は、ただの布ではないでしょう絶対なんかあるって!なんか!なんであんな繊細に美しく揺れるのさ💢

あと、西日本の時に書き忘れましたが、胸のとこにも何かヒラっと布が出てますよね、あれがまた動きに合わせて揺れるのですね。
袖の部分もね、風が孕むでしょう、あのスピードで。で、はためくと。
美。

全体的にゆらぎの集合ってゆうか、高橋くんの動きもゆらぎだし、音楽もゆらぎだし、衣装もゆらぐし、もうあっちこっちゆらゆら美しくてクラクラします!!!