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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番

震えました!!!

高橋大輔選手トリノ五輪シーズンのフリープログラム。
またなんで今頃???なタイミングの感想ですが、なんと今頃!震えてるのです。

2005年スケートアメリカ
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

高橋大輔選手によるラフマニノフ
中でもこのスケートアメリカ(スケアメ)での演技は、ファンの方達の間で一つの節目のように語られてる気がする。
高橋選手シニア転向後、国際グランプリ大会で初優勝した演技。
自分が高橋大輔って人の存在を知ったのは、これより後だったのもあり、当時その演技は観てない。

グランプリファイナルとか全日本とか五輪とか、プログラムそのものは観てるし(TVで)、スケアメのも後から探して見たはずなのに、2020年の今になってスケアメ版にまた出会い、すごい勢いで撃たれました。
今までも良いプログラムだとは思ってたけど、…これは、揺さ振られる!

最初の腕の動きでゾクッとくる。
ピアノの和音の重なりに合わせて、腕がポロロロロンってしなる。音の数に合わせて腕の関節が増えてる!(ように見える。)
その細やかな上半身と一緒に、足元のスケートのカーブからも和音の一つ一つが聴こえて、高橋くんのどこを見ても音楽なのが気持ちいい。
クンっとハネる指先が、微かなピアノの残響を余韻にして見せてきて、至福。

この絶妙な緩急、何かを思い出すなあと思ったら、あれだ。ピアニスト達の指の動きや呼吸。彼らも普通の人より手首から先の関節が多い…とゆうか、多分、使える筋肉の数が多いのかな。動くのも止まるのも、絶妙なコントロールで、見ててすごく浸れる。

ジャンって音が入る直前の、息を吸う間(ま)みたいなのとか、ピアニッシモの時に筋肉が思いっきりキュって収縮してそっと音が置かれる、みたいなのとか。
高橋くんの動きからは、旋律やリズムだけじゃなく、音楽の色んな要素が見えてくるみたい。音楽の呼吸とか波がそのまま舞踏になってるような。
あーーー”高橋大輔”の動きだーーー。

好きだーーー!!!

その伸びやかな前半からなだれ込むようなステップ。
特にスケートアメリカのは、このステップへの高揚感が凄まじくないですか??

サーキュラーステップの細やかなエッジのターン、目まぐるしく向きを変えてるのに軽やかさそのもので、ピアノのキラキラした音の波に沿って動いてるみたい。
〜からの、ズン、ズン、とくるストレートラインステップは、そこまでで溜まってきたエネルギーがぐわぁ〜〜〜〜っと撒き散らされるように広がってく感じ!
あの、旋律の呼吸みたいなとこでバンッと入るバタフライが!アガル!!!

ターンの複雑さとか速さとか正確性とか、多分スケート技術を知っていればあの技術の高難度性がよく分かるんだろう。けど、技術を分かってない自分が見ても、ステップの技巧としてじゃなく、音の表現として動きが迫ってくる。心が巻き込まれる。

理解した。たくさんのファンの方達が、数あるラフマニノフの中でもこの「スケートアメリカ版」を特別視する理由を理解した。
いやそれぞれ理由は違うだろうから理解したってのは違うか。とにかく私はイイものを見ました。
15年経って落ちる演技ってあるもんですね…。
遅かったけど見つけられて良かった。UP本当に本当にありがとうございます。
リンクだけ↓🙏

Daisuke Takahashi JPN - 2005 Skate America LP

アーカイブの重要性 by 町田博士

同じ演技でも楽しみ方って色々だなと改めて。
試合をリアルタイムで見る楽しさは、競技結果や演技の出来を見守る緊迫感がイイ。演者と時間を共有してる臨場感もイイ。
でも、後々になって採点結果とか気にせず、ひたすら世界観に浸る録画視聴も、違う楽しさがある。

リアルタイムだと応援の気が強くて結果に一喜一憂する時もあるけど、何年も経ってからだと演技内容に集中できる。その後に見てきたプログラムの蓄積もあったりして、あぁこれはKroneでもあったヤツだ!この頃から持ってたのか!とか、見方の時間が捻れててそれも楽しい。
つくづく映像があったのがありがたいです。

フィギュアスケーター、今は研究者となった町田樹さんもアーカイブの重要性を話してた。一度は(動画で)見たはずの演技に、15年経って震えてる今の自分に染み渡る話です。

町田さんは、
”競技会で出されるスコアは出場者を相対化する為の尺度に過ぎず、パフォーマンスそのものの価値を伝達するものではない。だからこそ、映像や、芸術性を言語化した批評アーカイブを、未来へ継承していく必要がある。フィギュアスケートのようなAS(アーティスティックスポーツ・音楽を表現する採点競技)は、作品であり、何度も味わい得るパフォーマンスだからこそ、点数だけのアーカイブでは無意味なのです。”
というような事を、日刊スポーツのインタビューで答えてる。
上記は端折って要約してます。正確な全文はこちら↓

スポーツとアートの境界線/町田樹インタビュー1 - フィギュア : 日刊スポーツ

本当に、未来に価値を伝えるのに映像のアーカイブは必要だって、自分の経験としてウンウン頷きました。

放映権を持つTV局でさえ、期間が過ぎれば大抵は権利が切れるようで、局公式のネット動画も消えてしまったりする。
きちんとずっと保存・共有できたら素晴らしいのに。どうすれば出来るのかな。
15年経って震えてる私のように、例えばフランツ・リストに今ハマる人がいるように、紫式部を今研究する人がいるように、映像が残れば、100年後、1000年後の高橋大輔ファンも生まれるからー。
町田くんが言うように、今現在の競技の向上の為にも役立つし、是非!

そう言えば、先月読んだSportivaでの宮本賢二さん(振付師)の話も面白かった。

高橋くんの2011-12のEXプログラム「クライシス」は、「eye」を作った当時(2008年?)にも宮本さんが候補に挙げたけど、高橋選手がこの曲は好きじゃない、と一度拒否してたって話。それが2011年には、「この曲がいい」に変化した、と。
宮本さんは「同じ曲を聴いても、時間の経過で捉え方が違ったり、心境の変化がある」と言ってた。
プログラムを観る方も似たようなことがあって、時間を経てから分かるものもあるんだな。

「髙橋大輔が五輪に連れて行ってくれた」―振付師・宮本賢二が語る秘話|フィギュア|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva


あと、演技中を切り取った、写真を観るのも楽しい。これも一つのアーカイブ

スケートの演技は普通、360度目まぐるしく動いてるので細部までは見えない。それが写真だと、鮮やかに瞬間が切り取られる。研ぎ澄まされた集中、曲に憑依されたような表情。(素晴らしいカメラマンさん達のお陰です🙏)

ラフマニノフでも、どこを切り取った写真も、なんとなくではあり得ない美のポジションが作られてて、こんな若い時から美の権化だったんだなあと感動する。自分には特に手の指先が印象的。
どの瞬間の写真も、本当に指先の一本一本それぞれに、細かく神経が行き届いてる。動かした反動でたまたまある場所、じゃなく、いつも最高に美しいポジションを取ってる。全体としても、ちょっとした角度、捻り、その集合でできる身体のラインが、…得も言われぬ

流れで観てる時は、途切れなくスムーズで自然体なのに、切り取られた写真からは、人としてその角度は変でしょ?ってか無理でしょ?ってゆうか、なにがどうなってんの?ってポーズも多い。あの一瞬一瞬が積み重なってるんなら、息が詰まりそうなほど高密度に人為的な体勢だと思うのに、動いて届く雰囲気は、ものっすごい自然に美しいの。

フシギー!

高橋くんのこの力みのない自然さが、不思議でたまらなくて大好きです

今シーズンから挑戦が始まるアイスダンスでは、この能力がどう活かされるのか。
確か最初のトライアルの段階から、二人だからこそ出来るポジションがあるって言ってたし。ふふふふ。楽しみに待ってます!

そうそう、二人のアイスダンスも見られる、フレンズオンアイス2020スペシャルムービーYouTubeにUPされました。荒川静香さんのプロデュース。こちらは公式動画なので長く残りますよねー。スケーター達の笑顔と温かい気持ちが嬉しい!ありがとうございます🙏

Friends on Ice 2020 Special Movie

Friends on Ice | フレンズオンアイス