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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 2019全日本 公式練習 4回転集

自分が高橋大輔って人のスケートがこんなにも好きな理由の一端を、あらためてしみじみつくづく深々と感じた、フジスケさんからの高橋くん動画。

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「見たい!動画」Vol.12
高橋大輔 2019全日本 公式練習 4回転集

フジスケさん(フジTVスケート班)がステイホーム企画として、インスタでリクエストを受け付け、応える形で公開された「見たい!動画」の一つ。
高橋くんのスケートへのひたむきさや歌子先生との関係はもちろん、編集のすべてから編集者さんの愛が伝わってきて、そっちにも泣かされました。

まず、公式練習初日の、かつての戦友ステファン・ランビエール(現コーチ業)との談笑シーンにジーンとする。
「前にここで一緒にやったよね〜」というような会話だったらしい。
"Long History!"と微笑むステファンの言葉にしみじみ。

そして、4回転集と銘打ちつつ、まずはフェニックスのステップを入れてくれる編集さん❤️
動画のBGMはボレロでも、高橋くんの身体の動きからフェニックスの音が聴こえる。エッジの切り返しのタイミングと重みから、ビートが聴こえる。ああ高橋大輔だなあぁぁ。
そしてトリプルアクセルからのコンボジャンプも❤️

「残り時間5分です」のアナウンスの後、4回転トゥーループ(4T)挑戦の映像が続く。
この時の高橋くんの表情がイイ。イイ。本当にイイ。(しつこい)
淡々としてるけど、自分と向き合う静かな矜持を感じて、じんわりくる。それを見守る歌子先生の笑顔にギュッとくる。

権利の関係で会場音は使えないらしいのに、時々一瞬だけ会場音になる編集。
ジャンプの時の音。
成功のも失敗のも。
歌子先生に近寄る時のエッジの音。
その空間の音。

ねえ、この編集した人、高橋くんのスケート、大好きでしょう?愛してるでしょう?私もです!!!😭
自分が見たいもの聞きたいもののタイミングが全部バッチリ入ってる。なんてありがたい編集映像!

挑戦の過程も、じっくり見せてくれたフジスケさん。
わかりやすい派手さはないかも知れないけど、すごく重みのある重要な時間を、そのまま出来る限り見せてくれたんだろうな。
高橋選手の静かな情熱と、歌子先生の包み込むような笑顔に、なんて良い時間を見せてもらったんだろうと思う。
あれが、あの高橋大輔のスケートのなんだなぁ。

遂に成功したシーズン初の4T着氷は、力みのない柔らかな4回転だった。
着氷と同時に上がったリンク周りからの大きな拍手と歓声。

それが照れくさかったのか、自分への拍手と気付いてないのか、高橋くん一瞬下を向いてから普通の顔で前を向いて、でも口元が緩んで、それからおもむろに歌子先生見て、口パクで「降りたー」って(笑)。歌子先生がガッツポーズで応えて、なのに高橋くんまた一度下を向く。で、もう一度歌子先生を見てやっと小さくガッツポーズ(笑)。なにこのカワイイ人。なに?????

そして、カメラ回してる高橋くん密着の担当者さん、リンク降りて側にきた高橋くんに、開口一番「ドーユーコトデスカ?」って(笑)。
そこで初めて弾けるような喜びを見せる高橋くん。
「一昨日とまったく…」ってツッコむ担当者さんに、
「そうそうそう!」「やってみたら、出来た!」って笑う高橋くん。
歌子先生も嬉しそう。嬉しい。

確か密着の人達は、その2日前にボロボロの練習を見てるんですよね…。体中湿布だらけでSPを1曲通す事が出来ない高橋くんを。
その彼等に「記念にしといて!もうしないから!It's done!」て言いながらニコニコ去ってく高橋くん。
ちょっと!だからなにこのカワイイ人!!!

翌日の練習は、初日より柔らかい表情で会場に登場。
「もうしない(笑)」と前日宣言したクワドをまた決める。うふふ。

ボロボロだと本人が言ってたSPの翌日もまた挑戦。美しい4T!

フリー当日の練習は衣装をつけての4かいてーん。ちょっとグルっとしたけど着氷!

高橋くんシングル最後のシーズンの4回転は、公式練習での4回って事でいいでしょうか?
それをTVカメラで捉えてた事、編集してこうして公開して下さった事、本当に本当にありがたいです。

高橋大輔選手のジャンプ

高橋大輔と言えばステップ、と言う評価に、自分も異論はないけど、高橋大輔選手と言えば4回転ジャンプ、でもあったなと思う、私にとって。

初クワドは確か17歳(訂正:15歳で既に跳んでたらしい)。シニアで結果を出し始めたのは、この4回転が安定した事が鍵だったと思う。怪我前は力強い4回転で、国際的にはジャンパーとして評価されていた記憶。(あ、ステップ技術は勿論◎だけど)

右膝靱帯断裂と半月板損傷という大怪我以降も、4回転は高橋くんにとって常に大きなキーポイントみたいだった。点数というか、高橋選手のにとっての鍵みたいな。

手術で膝にボルトが入ったままでも挑戦し続けた4回転トゥーループ(4T)。
怪我で膝のバネを失って(本田武史さん談)、ジャンプの仕方を一から作り直し地道に挑戦し続けてた。

復帰直後のバンクーバー五輪シーズンは、当時のルールでは、成功率の低い4回転は点数を得る意味では入れない方が得策だった。
トップ選手でも、4回転を最初から組み込まない選手は多くて、実際五輪の金メダルを獲ったのは跳ばなかった選手。

日本フィギュア界の悲願・日本(アジア)男子初の五輪メダルを期待される中、成績へのプレッシャーは相当あったはず。
その中で「僕は4回転を跳んだ上で勝ちたい」と言い続けて挑戦する高橋選手は、めちゃめちゃカッコ良かった。
結果的に五輪での4回転は転倒で、大幅に点数を引かれた上で、それでも素晴らしい演技を見せての堂々の銅メダル。臆せず挑戦する姿が清々しかった。

その直後の世界選手権では、両足着氷・回転不足ながら4回転フリップを跳んできた。なんと世界初のトライ。実況アナウンサー(西岡さん)も大興奮の挑戦でした。

その後もひたすら挑戦は続く。

2010年のジャパンオープンで、大怪我手術後、初めての4回転トゥループを成功!その後のNHK杯でも同じく4Tを綺麗に決めてる。
その2ヶ月後のGPファイナルで衝突での怪我があり、しばらく苦戦するけど(でもまた4フリップに挑戦してる)、その翌シーズンには調子が戻ってくる。

2011年NHK杯の公式練習で4回転フリップを着氷!試合でも挑んだけどこちらは惜しくも不成功。
その年の全日本では、ショート(SP)でいきなり4T+3Tのコンビネーション!めっちゃ綺麗に決まってコーチの歌子先生まで驚かせてた。(ご本人も驚いたらしい。)どこで何が飛び出すかわからない!

そこからどんどん4Tが決まり出し、四大陸のフリー(FP)、世界選手権はSPとFPで4回転を降りた。特にFPのはしっかり決めて演技も素晴らしかった!
次の国別対抗戦もSP・FP共に決めて2本。完璧。圧巻。
成功率がドンドン上がっていく。

翌2012-13シーズンには、SPに1本、FPに2本(うち一つはコンボ)、計3本の4Tが入る構成に。
NHK杯はマイナス評価はありつつ3本。
GPファイナルではSPで綺麗に成功。フリーは4T+3Tのコンボの方は成功。
全日本もSPとFPで計3本着氷。
SPは着氷ちょっと詰まったけど、FP冒頭の単独4Tはとても美しかった。コンボの方は判定は回転不足ながら着氷。

ただ、何度も繰り返す4回転は、靭帯断裂後の膝にとって、どれ程の負担だったんだろう。その後調子を一度落とす。

2013-14のソチ五輪シーズンは、NHK杯で大復活。
ソナチネ(SP)の4回転ジャンプは息を飲んだ。素晴らしかった。ビートルズ(FP)の4Tも完璧。SP、FP共にプラス評価の見事な4回転。

本当にさ。手術後のバンクーバーシーズンからずっと、きっとものすごい努力と根気で、もう一度4回転を習得し、何度も4回転ジャンプを見せてきたんだ。
だから、この頃の高橋選手の4回転をなかった事みたいにされると、私はどうしてもやいのやいの言いたくなってしまう(笑)。

ただ、美しい4回転を見せたNHK杯の直後、古傷の右膝を更に痛めて(骨挫傷)GPファイナルは欠場。ソチ最終選考の全日本や五輪の試合では4回転は飛べなかった。その印象が強い人も多いのかも知れない。

その後怪我の悪化で世界選手権を欠場し一度選手を引退し、4年間競技生活を離れ、で、なんと32歳で競技に復活し、シングルジャンプから作り直したという2018年。

肉離れなど今までとは違う怪我もありながら、少しずつ調子を上げて全日本公式練習で何度も4Tを決めてた。嬉しそうで、見てるだけで嬉しかった。
試合でも挑戦しましたね。こっちは抜けて3Tになっちゃったけど。

そして今回の動画の2019年の全日本公式練習。
全部ではないけど、大事な一部を見せてもらった。
あんな風に挑んでたんだ。そうだったんだなあ。

長い年月の間、高橋選手にとって4回転ジャンプはその時々で大きな意味があって、アスリート高橋大輔を作ってきたのは、このジャンプなのかも知れない。

個人的には、高橋くんのトリプルアクセルがなんせカッコよくて好きなんだけど。
もちろんトリプルフリップも美しい。サルコウもラブリー。ルッツもカッコイイ。ループも好き。トゥーループは何度も美しい4回転を見せてくれた!

高橋くんのジャンプ達。

惜別、です。

高橋くんが8歳から始めたスケート。
22歳で前十字靭帯断裂、23歳でスケートもジャンプも作り直し、27歳の試合で一旦競技を離れ、32歳でまたジャンプを作り直す。
文字に書くだけでも並大抵じゃないけど、実際はもっととんでもなく大変だと思う。

繰り返しの努力の果てに手に入れたんだろう、高橋選手のジャンプの力。
今年1月のアイスショーで見た高橋くんのプログラム「9000days」での柔らかく美しいジャンプは、嬉しいのに苦しいくらいだった。

そんな風に掴んだそれを、当の本人はあっさり(かどうかは知らないけど)手放して、次の世界に向かうんだな。
振り向きもせず。君はゆくのか。そんなにしてーまで〜♪

でも
でも、そんな人だから

好きなんだーーー!

はい。
次の高橋くんの挑戦も、心から楽しみにしてます!

けど、今後も多分、ジャンプ飛ぶんじゃないかな。知らんけど(笑)