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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

LUXE ナルシス(高橋大輔/田中刑事)の感想

今頃ですが、LUXE、見させて頂きました。
……放心です。
ありがとうございます🙏🙏🙏

LUXEは今年5月中旬に横浜で開催されたショーで、9月の今となっては4ヶ月も前の話ですが、どうしても書きたいとこだけ感想を。
ホントはアレもコレもソレもいっぱい色々あるんだけど、兎にも角にも「ナルシス」と「黒い鷲」だけは絶対書きたい。
という訳でショーでの順序もすっ飛ばして、いきなりナルシスの感想から。

LUXE Act.1 scene4 Miroir -鏡-
高橋大輔田中刑事

公式HPのシーン解説ではこう書かれてる↓

湖の水面に自らの姿を映したナルシス。
彼は水底から、もう一人の自分に見つめられていることに気づく。
美に囚われた一人の男の光と影−−−− 。

https://luxe.hyoen.jp/special/scene.html

有名なギリシャ神話のナルキッソスが題材って事で、発表を聞いた時から楽しみにしてたけど、こうなったのか。
さっきも書いたけど、放心しました。

なんだろうかコレ…。
なかなか言葉が出ないと言うか…まず出てくる感情の種類が多過ぎて、その上正反対みたいな気持ちが大量に交じってて混乱するし、そもそも自分でも訳わからん気持ちが多いし、変わるし、グルグルする。深淵が過ぎる。
初演直後から、怖い怖いって呟きをSNSで沢山見かけてましたが…なるほど、怖い。

怖いーーー!(好きだーーー!)

考え込まずにはいられない。…特に正解を見つけたいとも、正解があるとも思ってないけど、気付くとひたすらぐ〜るぐ〜ると思考の淵に。
イイなあ。こうゆう明らかに自分の手(頭?)に余る感じ。わけわかんないのに引き摺り込まれてどうしようもない感じ。

鏡の中の彼と本体のナルシス自身の、同じなのに同じじゃなくて、同じじゃないのに同じなのが、いろんな感情を産み出してそれがこう、なんか絡まって捻れて、切ないやら愛おしいやら狂おしいやら。

こうゆうのなんて言うんだったか。両義性?アンビバレンツ?ナルシスのシーンはそうゆうのばっかりだ。

高橋大輔さん演じるナルシスの、最初の登場場面からそう思う。
古代ギリシャっぽいドレープ衣装の青年が、一人仄暗い水辺に佇むシーンからの始まり。

彫刻のような筋肉のごく逞しい腕を剥き出しにしてるのに、身のこなしが繊細で、遠目だと少年か、どうかすると少女かと思わせる可憐な雰囲気がある。なんで?可憐てなに??あれ筋肉が増強された高橋くんですよね???
どの部分がどう作用してそうなってるのかは私にはてんで分からないんだけど、とにかくなにしろ魅惑の生き物で…目が離せない。
ナルシスのナルシスたる「自己愛」の動きは艶かしいほどのエロスなのに、なぜか無垢で無邪気な幼さが伝わってくる理由が、全然分からない。分からないけどだってそう見える。正反対の同時存在。

水面に映るお相手田中刑事さんの演技もそう。
従順にも傲岸にも、静かにも苛烈にも見える。見る側の気持ちでどうとも見えるような、不思議な透明感がありませんか?

二人の対比も。
体格も雰囲気も違うのに、確実に何かが同じなもう一人のナルシス。でも違う。でも同じ。こ、こんがらがる。スゴイ。この異質な同質感。
高橋くんと刑事くん、それぞれ一人でも既に両義感満載なのに、二人揃った時にまたその関係性での両義性があって、ってもうややこしやー。この二人の組み合わせ、最高にややこしくて、最高だ。

そして、本体のナルシスと違う動きを始めた水中ナルシスの、トリプルフリップジャンプ!ここのジャンプの使い方、痺れました。は〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

どんなに動きが激しくなっても、静謐で胸の裡が読み辛いケイジタナカ(ナルシス影体)に対して、止まってる時さえ感情を全身で見せるような、高橋ナルシス本体。
あああああんな風に跪かれたら、苦しくて苦しくて自分はどうしていいやらもう…。
ただ佇んでる時でも、僅かな心の揺らぎまで見える。顔の表情ってより、ちょっとした身体の角度、強張り、動きのタイミング、指先、そんなところから心の機微が手に取るように伝わってくるの、あれ、なんの魔術ですか???
こんな人と対峙したら、自分の感情も駄々漏れで引き摺り出されてしまいそうな。てゆうか画面越しで見てるだけの自分は、もう勝手に引きずり出されまくってます。
が、刑事くんはその高橋くんとガッチリ目線を合わせながら、一貫してあのクールなオーラが崩れない。
二人の対比と響き合いが堪らない。

人と組んで作る表現の技術を、2年前の高橋くんが欲しがってた理由がわかる気がした。そして2年後こうなったのか…。
対比で際立つもの。同化に引き込まれるもの。相手を活かす動き。コレは…スゴイ人がスゴイものを手に入れてしまったのでは。やややややばいのではこれは。
しかもどんどん磨きつつあるなんて、なんとゆう幸せの世界。やばいのではこれは!(2回目)

それにしても、その高橋くんに見事に応えた田中刑事さんの表現技術力。今後の田中選手のスケートからも目が離せません!

もう一つ、無粋だとは思うけど演技に感心してしまったのが、高橋くんの驚く時の表現。
不意の驚きを演じるのは、結構難しいと思う。演技では予めなにが起きるか知ってるから、無意識に用意したり構えたりが出やすい。
色んな演劇やドラマやら見てて、俳優さんの技量が割と試される場面だな〜って感じてきたんだけど、高橋くんのあの、相手の予想外の動きに反応したって感じの感情の見せ方が、とても好き。用意されたものに全然見えない。

2年前に俳優の福士誠治さんが高橋くんに伝えたという、台詞は台本を言うんじゃなく相手に反応して出るものっていう演技指導が、ここでも活きてるのか。
そう言えば高橋くんのスケートってもともとそうゆうとこがある。
振付に見えないところ。
何度も見た同じ曲の同じ振付でも、いつでも新鮮にその時の音楽に反応して動いてるように見えるところ。
で!今回堪らないのは、劇中の感情に対して自然な演技ってだけじゃなく、音に対して必然なんです!YES!THIS IS THE TAKAHASHI!

これは、福士さんの演技指導の賜物と、高橋くんが独自に磨いてきたセンスとの合わせ技なのかな。
演技のやり取りから偶々出てきた動きとして見えるのに、流れている音楽そのものな動きってのが、さすが過ぎて踊り狂いたいくらいさすがです。
氷艶第1作目の破沙羅から、高橋くんの演技はずっと見てきたし、演技もいいなあって思ってきたけど、今回のこのシーンは殊更、この人の演技への感性がめちゃめちゃ好きだ…って実感した。

あと、二人ともすごいスピードで移動出来るから、使う空間が広くて、二人が作る緊迫の間(ま)がでかい。あの大きな会場全体に張り詰めた空気が充満して見えた。
それを更に際立たせてくるteam Lab(チームラボ)のプロジェクションマッピングがまた素晴らしく。ナルシス達の感情を示唆するような、抽象的な波紋の広がり方や色の変化。そしてなんと言っても、終盤のの場面が印象的だった。
光の当たらない暗さってより、光を吸い込む圧迫感が、まるでブラックホールのようで本当に怖かった。
その上にクラシカルなあの音楽がまた、もう何から何まで隅から隅まで、沁み入る…。

最後の最後、切なくて苦しくて呆然としてるところに(私が)、穏やかで明るい和音が響き渡るのがまた、なんか抉ってくる。最後までずっと続くアンビバレンツの妙。
はぁ。抜け出せない。浸食される。一度見たらすごい持続性でぼ〜〜〜〜〜っとする。はぁ。

ナルシス、空間の全てが、一分の隙も無く最高が詰まってました。
作品としてとんでもなく素晴らしかったです!

ちょうどLUXE公式Twitterから、こんな企画のお知らせが来てるので

このシーンの二人の裏話なんかも聞けたら良いなーーーー。