はてはてマーチ

「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔 The Person I Should Have Been

自分が今まで着々と落とされてきた高橋大輔さんの過去プログラムを、「沼への道」って題で延々ブログに書いてきたんですが、さすがにstep20も過ぎてとっくに沼にも到達してる気がするし、数を数える意味がよく分からなくなってきた。ので、もうプログラム名だけにします。

アートオンアイスのコラボ
"The Person I Should Have Been" (James Morrison)

2017年のArt on Ice (AOI)でのプログラムで、ジェイムス・モリソンとのライブコラボ。
スイスでのアイスショーAOIは高橋くんは2回目。

高橋くんの音楽への反射みたいな感性は、ライブコラボの時に際立ってよく分かる。
前回のネリー・ファータドとのコラボが素晴らしかったので、最初っからかなりの期待値で見せていただきました(人様の動画を。🙏)

初めて見た時は、段ボールハウスのホームレスという設定とボロボロの衣装に驚いて、もしかしてこれ、J・モリソン氏の歌う歌詞とズレがあるんじゃ?とちょっと戸惑ったんですが。
回を重ねる度に、モリソンの前向きなメッセージが、大輔さんの演技からしみじみ伝わって来て泣きそうになった。

とにかく美しい。

衣装も設定も落ちぶれた辛さを表しているのに、全体的にはその痛みさえもが愛おしくて美しいものとして伝わって来る。
苦しんで足掻いて何とか立ち上がろうとするって事が、こんなに美しいのかと思った。
哀れみではなく、人間の弱さと、それを上回る底からの強さ。

モリソンの少し掠れた歌声と、彼のアコースティックギターだけで進む悲しげな曲調。

ほとんど転びそうなくらい力なくのたうち回って、今にも崩れ落ちそうな足取りで。
悩んで下を向いて首を振って、天を仰ぎ髪を掻きむしって嘆き、それでも立ち止まらず歩き続けようとする姿が、愚直で真っ直ぐでたまらなく美しい。

ぼろぼろになった服に着けたままの、かつて華やかだった筈のコザージュが、切なくて可笑しみさえ感じるのにその離さないプライドが美しい。
苦しむ姿が哀れを誘うんじゃなく、こんなに崇高で尊いと思うのは、多分本人が諦めていないように見えるから。

何度倒れてもまた立ち上がって前に進み、やっぱり上手く行かずつまづいて項垂れる、でも止まる事なくまたゆらゆらと立ち上がる。
希望にあふれている訳じゃ全然ないけど、倒れても倒れても、重い身体をまた持ち上げて新しく歩き出す姿…。
この繰り返しがめちゃくちゃ胸にくる。
華やかな過去と辛い現実に押しつぶされそうにしてるけど、まるでそれが本能のように、今を必死で進む。先に先にと歩き出すの。

あの………

心臓が………ぎゅううううううぅぅぅぅぅってなるんですけど。(病気?)

こうゆう人物像を演じるような演技って高橋くんそれまでありましたかね。新境地じゃないですかね。だいたいいっつも新境地ですけどね。

最後に力尽きて舞台に座り込んで終わるんだけど、そこが滑っていた氷上じゃなくて一段高い舞台なのも印象的。
どこからかピエロが現れてポンっと肩に手を置かれ、それに主人公の彼が微かに頷いて終わる。

諦めたのとは違う。
明日になれば、またあの段ボールからノロノロと這い出て、また新しく何かを探して歩き出すんだ。何かを見つけるその時までそれを続けるんだなと、根拠はないけど確信できるラスト。
人生の苦しさへの嘆きではなく、立ち上がろうとする人間への応援歌なんだと思った。
フェリーニの「道」で見せた表現方法とはまた別の、でも同じテーマを感じる人間讃歌
だからこんなに美しいのか。

ボロ衣装のまま苦悩で始まり苦悩で終わるのに、人の尊厳とか美しさ、生きる力の強さを感じて、その先にあるかも知れない希望を信じられる。

ってこれ、映画か演劇でも観た後の感想みたいじゃないですか?自分が観たのはたった3分半程のフィギュアスケートの演技だよね?実は私、3時間超大作観てたの?高橋くんってやっぱり四次元使えるの???(それとも私の妄想癖が過ぎるの?)

なんかもう、小さなYou Tubeの画面から(動画あげて下さった方々本当にありがとうございます)、時空が歪んだと思った。
すごい重みでした。そして人生についてめちゃめちゃ考えた。
J・モリソンの声と詞とギター、その世界観と、高橋くんのスケート(スケート?)の見事な融合で、気持ちまるごと持って行かれました。

モリソン氏も高橋くんも、それぞれ内に籠るように歌い、滑るのに、二人からすごく外に向かっての希望のようなメッセージが伝わってくる。二人がそれぞれにくぐり抜けてきた、人生の重みまで感じた。彼らの経験と感性から出てくる深み。

人生の色んなものが階層になってるような、複雑で多面的で力強い、不思議な感覚だった。
やっぱりあのプログラム4時間くらいあったのかな???(YouTubeによれば前奏を入れても4分…)

このプロは振付の経緯も面白くて、2015年のAOIで高橋くんに目をつけた振付師ショーン・チーズマン氏が、次は絶対自分がダイスケに振り付けるとその時点でSNSで発信されてて、そしてこの回のAOIでのタッグ。
けどチーズマン氏の振付は陸上で行われたそうで、その動きを高橋くんがスケート用にリンク上で直すという作業だったと聞いた。
そんなやり方もあるのか。なるほど、それが出来るなら振付師の幅が随分広がるなあ。

ユニークなチーズマン氏の振付を高橋くんが自分の動きやすいスケートの形にしているからから、すごく自然で動きの一つ一つに説得力がある。
しかも、生弾き・生歌で毎回ニュアンスの変わるJ・モリソンの音楽と、呼吸のレベルで合わせてくるんです。
独特の世界なのになにもかもが自然にあって、だからこっちが感情の世界に浸れるんだろうな。
一つ一つの振付の動きというよりも、見終わった後に残る感情の大きさに全部持ってかれて呆然とする感じ。
なにこのカタルシス

こ、
こうゆうの体感するとどうしても言いたくなる…。

表現のためにいつもアンテナを張ってて、地道な研究と練習の努力が下地にあるんだと分かってるつもりなんだけど、でも、それをこんな形で放出できるってゆうのは、やっぱりちょっと、これはさ。

言います。

高橋大輔って、天才だ。

まとめ

高橋大輔は天才。(繰り返しただけ)


俯瞰から見るのが自分が好きなのでこの方の動画を。
ローザンヌ公演1日目。(ツアー5日目)

youtu.be