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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

小塚崇彦 全日本2014 イオ・チ・サロ

実は以前にも書きたいと思って書きそびれてた小塚崇彦さんのプログラムの感想。
と言うのも、自分の好きな過去プロ感想を順に書いてる時、自分が感動したイオチサロはてっきり2015年だと思い込んでて、確認で動画を見たら2014年だ!と気づいたから。その時は既に2015まで進んじゃってたので、時系列おかしくなるやんって思って。そして迷ってそのままになってた。

でも、もうとっくの昔に時系列完全無視なブログになってるし、多分誰も気にしないだろうし、自分も全然気にならない。
しかも今日は小塚崇彦さん誕生日と言うめでたい日!おめでとうございます!と言う訳で、小塚くんのスケートと名プログラム「イオ・チ・サロ」の感想をアップします。

小塚崇彦のスケート

自分にとって”小塚崇彦”と言えば、まさにスケートの素晴らしさを体現するスケートの伝道師!
殊「滑る」技術に関しては一つの最高峰だと思う。

あのスーーーーーーーーーーーーって進むスケートの気持ち良さと来たら。

なんか、今すぐスケート場へ行こう!すぐ行ってすぐスケート靴履いてリンクに乗って滑りたい!あのイーグルを!あのイーグルをやりたいんだーーーーー!!!!って気分になりませんか?私はめちゃめちゃなります。一時的に。

ジャンプとかステップだと、自分にとっては非現実的過ぎて、最早ファンタジーの域なので、真似したいって気はさらさら起きない。でも、スーーーって滑っていくあのスケーティングの様子は、思わず自分もやりたいって気持ちになる。出来ないけど。本当はとんでもない量の練習に裏打ちされた熟練の技と身体的センスが必要で、素人に出来る訳ないんだけど。

身体の力を抜いて、スケートの刃と氷の摩擦に任せてスピードに乗って、頬に風を受ける…。ああ気持ち良さそう…って、簡単に妄想の世界に連れて行かれて、根拠なく自分も出来そうな(気がしてくるけどもちろん完全な錯覚)。

すごく上手い人の技って、超絶技巧がいとも易しそうに見える摩訶不思議な現象がある。そして小塚君の上手さは、自分もやりたい!って気持ちにさせる。不思議だな。

プログラムの選曲に関しては、初のオリンピックでSPジミヘン+FS布袋さんのギターコンチェルトだったり、まさかの超変則8分の7拍子アンスクエア・ダンスだったり、相当チャレンジャーというか変化球な人だったと自分は思うんだけど、それもこれも彼の王道ど真ん中なスケート技術があるからこそだと思う。
優れた運動神経の上に、磨き込まれたスケート技術。

そして自分にとって小塚崇彦と言えば何と言ってもこのプログラム。

2014年全日本選手権 フリー
Io Ci Saro (イオ・チ・サロ)

イタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリの歌で、振付はローリー・ニコル

ビックリしたのは、滴り落ちそうなくらいの深みのある艶

それまで自分にとって小塚くんは、爽やかで澄み切った軽やかなイメージだった。
それがどうして急に、こんなツヤッツヤのツヤ???
前からそうだったのに自分が気づかなかっただけなのか、その辺はよく分からないけど、とにかくこの変化にまず驚いて、でもこれがすっごく素敵で心を掴まれた。
端正で気持ちの良いスケートの上に加わった、熟成の深い色艶。

ボチェッリ氏の厚みのある響く歌声と、小塚くんの所作から溢れ出るがピッタリ重なり合って、めちゃめちゃ奥行きのある味わい深さになってた。

もともと彼が持っている湖面みたいな静かさから、熱い情熱が表に出て来て、あの滑らかなスケーティングがそのひたむきな熱さを美しく彩って見せる感じ。

勝手な感想だけど、すごく彼の内面を感じる演技だった。
これまでスケートをする中で多分たくさんあっただろう辛い事や苦しい事も、しっかり向き合って自分の糧にした、小塚君の生き方まで感じるような演技だった。

色気って人生の深さなのかな。

自分が勝手に感じた彼自身の内面の深さと、彼の高難度スケート技術の結晶が、鮮やかに迫って来る感じで、これが小塚崇彦だ!ってめちゃめちゃ感動しました。
小塚選手のスケートへのプライドを感じる、気迫の演技だって思った。

重力を感じない滑らかで軽いスケートに、彼の人生の厚みが加わってるような、そんな感じ。すごくよかったなあ。

小塚崇彦 Takahiko Kozuka 全日本選手権2014 FS

引退後の貢献

競技から引退した今は、選手達の為のスケート靴のブレード開発や、一般の人へのスケート教室など、フィギュアスケートの為に新しい試みを続けてるんですよね。

選手のための小塚ブレード(スケート靴につけるブレード)も、スケートの裾野を広げる為の小塚アカデミー(スケート教室)も、前例のない新しい事なので苦労も多いと思うけど、是非頑張ってほしいし、心から応援したい。

昨年2月ごろまでは、文字通り奔走してるように見えた小塚くん。今はCOVID-19の影響で色々難しい部分もあると思うけど、オンラインレッスンとか新しい形も模索したり、今も「引き続きスケート楽しみましょう」と、前向きでいてくれてるのが心強い。

今後フィギュアスケートだけでなく色々見通せない事も多いけど、こんな時だからこそ、面白いアイデアが生まれてくるかも知れないな。

選手時代に氷上で見せてくれたような、高いスケート技術と知識と職人気質なこだわりで、これからもフィギュアスケートの世界を拡げていってくれると思う。
きっと小塚くんにしか出来ないやり方で、彼のスケートへの情熱を更新し続けていくんだろうな。

小塚くんが拓く、新しい道。
これからも、益々の活躍を祈ってます。

あ、あと願わくばショーにも…。
アイスショーには、もう出ないのかな…?