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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

氷艶 hyoen2017 破沙羅 感想

5月が氷艶一周年で、色々と素敵な破沙羅の考察を目にする機会があってとても楽しかった。
で、なるほどなーと思いながら見返してみると、今までと違って見える部分が出てきたりして面白い。そして見事ロスがぶり返しました!

氷艶・破沙羅、良かったなあ。
嗚呼観たい。また観たい。見せてくださいーーーー!!!

何も考えずに希望を出すなら、自分が時空を超えてもう一度あの会場の中に座って破沙羅を観たい。でも無理なので…(うぅ、ドラえもーん!)今一番の願いは、地上波での再放送。(あと円盤化)

NHKさんに再放送の要望を出すなら、何て書けば良いのかなと考えてそれを前エントリーに書いてみたけど、そちらは萌えをかなり控えたのでもうちょっと発散したい。
という訳で、別エントリー。

まるでまとまってません。
でも断片的にでも思いをはき出したい。

主に演技の感想

演出・主演の市川染五郎氏(現・松本幸四郎)が、ただもうスゴイ。
まず演出家としてのアイデアの突飛さと実現させる力!度肝を抜かれるってまさにこれ!
ただでさえ忙しい人だろうに、よくこんな事を短期間でやり遂げられるなあ。しかもあんなに楽しそうに。
演技中も慣れないはずのスケート靴をずっと履いていながら貫禄満点の悪役だった。
スケートでの六方とか附け打ち(?)と照明とで一気につくるその花道とか、宙吊りでの宙返りとそれをシルエットで見せる照明とか、すごく楽しい。

大蛇も、まさかあんな大きいもんが空から降ってくるとか思わんもん。しかもスケートリンクを走り回るとか。ビックリしたわー。素晴らしいアイデア

また染五郎さんが演じた悪役・仁木弾正の格好良い事!
仙台萩の恨みがどうとか最初の口上で言ってたけど、そうゆう恨みつらみの湿気は全然感じない。だいたい悪逆非道ってやたら嬉しそうに自分を紹介しちゃってる時点でもうなんか悪い人な気がしないんだけど。
カラッと明るくて頼りがいがあって男らしい色香があって、あれ?理想の男性像じゃない?

ところがこの弾正さん、阿国義経だと分かってから様子が一変していく。執着心なのか競争心なのか猜疑心なのか、心の陰の部分が表に出てくる。この辺の変化がやっぱり上手い。さすがの演技力。

そして岩長姫(市川笑也)。この物語の中で最初から一番、色々な人間らしい(神様だけど)感情を見せてくれたキャラクターじゃないでしょうか。

コノハナとニニギの駆け落ちで岩長姫が一人残されてしまう所、大きな体の動きも表情の変化もないのに、姫の辛さが手に取るように伝わってきてしまって胸が痛い。ニニギの視界に入ろうとあちこち動くけど目に入れてもらえず、やがて立ちすくむ姿が…。

感情移入して悲しんでいたら、悲しんでると思った岩長さんはいつの間にか静かに暗い憎悪をたぎらせて弾正さんを呼び出してるし。
で、弾正さんに会ったらそれでもう上機嫌!更に義経さん見たらすっかり夢中になって超ご機嫌!
岩長ちゃん…もしや重度の面喰いじゃ…。
でも愛情の表し方は歪みまくってるしで。面白い!

それにしても笑也さん(岩長姫)、スケートが上手い!
フィギュアスケーター達と違って上体がピンっと伸びていてほとんど動かず、その状態でスケートのスピードで動き回るからものすごくこの世のものじゃない感じ。あれスゴイ。なんかメチャメチャ怖い。
自分は特に天井席から見下ろしてたせいで、長いスカートに隠れてスケート靴が全く見えなかったから、超高速モーター付きのルンバに乗ってるのかと思うくらいだった。あれに迫られたらホント怖いわ。
義経に迫ってる時の岩長ちゃんは、不気味で無敵でイキイキして見えたなあ。

岩長姫と義経さま

自分が高橋大輔さんのファンなので当然高橋くんのファンの感想を一番多く見聞きするんですが、個人的な印象では、高橋さんファンから一番多くの共感というか同情というかシンパシーを集めたのが、高橋くん演じる義経でもなく、義経の恋人・静御前でもなく、この岩長姫だった。
って!!!戸部さん!これ何の罠ですか??(脚本:戸部和久氏)


登場人物がそれぞれ魅力的で、勧善懲悪のストーリーと言いながら、悪役達にも感情移入してしまう。愛嬌があったり悲しみがあったり格好良かったり、誰も心底憎めない。むしろこっそり応援してしまうとかどうゆう事か。

となると、悪役の個性に善側が喰われてしまうかと言えば、全然そんな事はない!


源九郎判官義経(高橋大輔)さま。
こんなにも必死でお守りしたくなる戦の大将があるものなのか!カッコイイ!というより守りたい!でもカッコイイ!!!なんだろうこの想い。
敵味方男女問わず惹き付けてしまう訳の分からない色香を放つ、強いとも弱いとも言えない不思議なヒーロー。
本人にその気はなくとも、世界の全てを喰ってしまうのはきっとこの人だ。そうゆう魔性を持っている。

召還されて呼び出されるあの場面は、この上ないビジュアル美の結晶だった!
チームラボの艶やかな桜の映像の中から、風のように現れる。
長い髪を結い上げたポニーテール。長衣の裾をはためかせ、鷹の羽が見える鮮やかな鎧衣装。このビジュアルで颯爽と登場するんですよ、高橋大輔が。美が過ぎる…。
まさに麗しの御大将。ビジュアルだけで美の大将、あ、違った、善の大将だと納得させられる説得力。

台詞がないので声が聞けないし、登場してから一切笑わないのでしばらくはイマイチ感情が分からない。呼出されて大喜びだった仁木弾正に比べて、義経さまは召還された事をどう思ってるのか。
でもそのミステリアスさが義経の美に拍車をかけてた気がする!(自分だけかな)

そしてすぐに展開される戦いの場面で、実はやる気満々な事が判明。
止められても止められても自ら闘いたくて仕方がない義経様。そりゃそうか。唐突な呼び出しとは言えやっと腹心の弁慶に再会したっていうのに、いきなりまた失うなんてそりゃないよね。劣勢の中、大将のくせにすぐ前線に出ようとする義経を弁慶と四天王が必死で止める。
血気盛んな義経様。イイ!

けどこれ基本的に、四天王+弁慶+義経 vs タコさんズって事ですよね。わらわらとその他の勢もいるけど、基本的には6対2じゃないの?それでこの劣勢ってちょっとなんか…タコさん達強過ぎませんか?(弱過ぎとは言いません!断じて!)(あれ?言ってる?)

まあいいや。

あと!そう!あの出雲阿国の舞!
息を呑んで食い入るようにして観てた。どんどん手繰り寄せられて目が離せない。ただでさえ異世界の芝居の中で、さらに異界にトリップしてしまうから、何だか訳が分からなくなる。三味線の音に取り憑かれたように踊る謎の演者に釘付けになって、終わった瞬間に今のなに???てなるの。すごい。すごいパフォーマー

歌舞伎方の舞もそうだけど、高橋君この人も、タメと間とトメの達人なんだった。長唄の曲にめっちゃ合う!彼の独特の間は日舞に通じる間だったのか!!?弾正殿も虜になるという筋書きが、あまりにも当然と思う圧巻の踊りの説得力。
よくぞ東京ゲゲゲイを思いついてくれました!そして素晴らしい振付をありがとうございました!


村上佳菜子ちゃんの天鈿女命(アマノウズメノミコト)の演技も良かった❤️
夫役の猿田彦(中村亀鶴)とのラブラブっぷりには幸せのお裾分けをもらった気分で自然と笑顔になる。
あの元気いっぱいの愛らしさは、神様だらけでやたらと厳かになりがちだった空気に、ほっと一息つけるようなアクセントをくれた。あ、鈿女ちゃんも神様だっけ。
スケートも軽快で、足元につけたがとても効果的。
そして弁慶となった猿田彦が往生した時の彼女の悲しみ方には、もう胸が締めつけられた。泣かずにはいられない。
最初の時の軽やかで楽し気な鈴の音が、その音色のまま切ない慟哭の響きに変わる。そして甦りの儀式では、一途な願いの象徴のように聞こえてきた。
一つの音をこんなに多彩に見せてくれる。さすがです!

織田くんの凛々しく高貴な瓊瓊杵命(ニニギノミコト)もハマリ役。
実はこの人、信長級の怖しさと冷徹さを持ってるんじゃないの?って雰囲気も醸し出してていかにもやんごとなき神様。「民の長」感あるある!
役柄としては、そもそも全部アンタが悪いんやーと突っ込まれがちな役所なんだけど、でもでもでも!木花一人が我妻ぞってなんかちょっと一途じゃないですか?神様の割には純粋じゃないか(神様を何だと思っているのか)。二人どうぞって言われたけど一人しか好きになれないから、他の方はお断りするって、なんかあれ?イイヤツじゃない?しかも永遠の命を振り切って、ですよ?

ただまああの…もう少し、もうほんのちょっとだけでも、振られてしまう人への配慮がね…あればね…うん、まあでも終わった事ですから…。

木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)(浅田舞)のまさに花のような美しさはうっとりする。動きが軽やかでいかにも清らかな清潔感。逃げ惑う姿まで優美だった。
でも囚われの身を義経に救われてからは、可憐なだけじゃない芯の強さを感じさせる演技。流れるような殺陣も格好良い!

静御前(鈴木明子)は、義経の心の癒しとしての幻影の儚さだけじゃなくて、大事な時には義経を自分の力で守り自ら刀を持って戦おうとする、めちゃめちゃカッコイイデキル女っぷり。包容力のある凛とした強い女性像なのが素敵!義経さまも惚れる訳だ。

この破沙羅では、女性達が皆ただ守られる側ではなく、自ら戦うお姫様達設定なのが素敵です!
決戦でこの姫二人がペアになって戦う所は胸がキュンとした〜。

そして悪役側の蛇髪姫ですが、荒川静香さんが素晴らしい!
女神やってた時の優雅な人はどこに行ったのか。
和太鼓の力強い音にのって、人間離れした野性味のある動きがカッコイイ!!!
尋常じゃない程軟らかい身体を活かしたその動きが予測不能で、不気味な恐ろしさを醸し出してた。まさに蛇!
5人揃って刀持ってる義経さんズより、素手の蛇髪ちゃんの方が圧倒的に強い雰囲気を出してるもん!!!いやもう楽しそうなこと!!!

ストーリー感想(一箇所だけ)

今頃やっと分かったんかい!とか、それ勘違いや!ってずっこける方もいるかもですが…。

静御前の在り方が、ず〜っとよく分からなくて考えてたんです。
まず、岩長姫に捕えられた義経静御前が助ける場面。
最初は、静さま強い〜〜最強〜〜〜って思ってた。あ、最初っからこの人呼び出しときゃ良かったんじゃない?ってくらい。

だけどあれは静御前義経を助けに来たと言うより、義経様の中にある幻影が実体化したって事なのかな。義経の中にある静の強さ。

SNSでファンの方達の言葉を読んで初めて気づいたんだけど、確かに岩長姫に捕えられたあの場面で出て来た時の静御前は、前半はただ舞っているだけで別段強そうじゃない。(自分、会場では別の方に視線ロックオンだったので…)
それが途中から明らかに、義経様を守ろうとする、取り返そうとする動きになっていった。なるほどな〜。

色々解釈は出来そうだけど、あれは義経の中に住む静御前で、彼の静への想いの強さが静御前自身の想いの強さとなって外に出て来たのかな。
でも岩長姫と対決できる強さじゃなくて、あくまでも義経を邪から守る事に特化した強さなんだろうな。だから義経次第。

で、お互いの想いの強さが重なって力が生まれ、宝鏡を奪い返し、木花さんと瓊瓊杵命を取り戻すという一発形勢大逆転になった、と。
結果、単身で宴会場に潜り込んだ義経様の無謀とも言える単独行動が大成功を収めた訳で、なんだやっぱりさすがは御大将!

本当は弾正にもっと呑ませて酔わせた上で勝負したかったのに、弾正さんが思ったより性急で(でもそれはアンタが悪いんやで〜)それで予定が狂ったんだと思ってたけど、実は大事な宝鏡を弾正ではなく岩長姫が持ってる事も、分かってた上での狙い通りだった?っていやいや、それはさすがに考え過ぎかな。

でも呼び出されたからやって来たのに、弁慶にも四天王にもやたら庇われて思うように戦わせてもらえないし蛇は強いし、自分で動いたら敵に捕えられて、それを静御前に守られて助けられたってなると、大将…同情するなぁって思ってたけど、いやいや、やっぱりあなたの作戦と心の強さがあってこその大逆転劇だった訳ですよね!うんうん。それにまずその捨て身過ぎる作戦を考える所が、やっぱりめちゃめちゃ熱い人だ。

で、最後の決戦では義経に静は見えてるのか?もずっと自分の中で疑問なんですが、これもブログで読んだファンの方のお話がすごく面白かった!そして今の所の自分の推察では、やっぱり見えてない、かなあ。

あの時の静御前義経の幻影ではなく、静御前の意思で出て来たんじゃないか。だから神様である木花姫なんかには見えていても、義経には見えてない、のかな?存在は感じていたかも知れないけど。
弾正と向き合う木花・静ペアを助けに来た場面はあるけど、あの時も静の方を全く見てない。ただ弾正を追って来たら木花姫が対峙していて、木花さんを助けるために敵との間に割って入った、という風に見える。
そう言えばここでTAOのリズムが変わるのがまた格好良いんだな〜。

まあとりあえずこの時の義経様は、静御前どころか弾正さん以外は目に入ってないっぽいけど。それくらい弾正から目を離さない。弾正さんも常に義経だけを見てる。
や〜〜〜格好良かった〜〜〜。

最後の決戦はみんな格好良かった!悪役も善役もみんなみんなみんな。
ただ、岩長姫だけは…うん、切ない。

でもエンドロール(?)で元気な姿が見られたから良かったよ!
市川笑也さん、氷艶・破沙羅を見るまで存じ上げませんでしたが大好きになりました。

あ〜やっぱりまた観たいよ〜〜〜再演して〜〜〜〜!!!!