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「高橋大輔」を好きなだけ語るブログ

高橋大輔:破天荒 その2

高橋大輔さんは、私の無意識に固まってた思い込みを、何度も鮮やかにぶち壊してくれる。
で、自分が驚かされた高橋くんの印象深い出来事を(これでもかなり厳選して)書き始めたら、予定より大幅に長くなり2つに分けました。
その1は第一次現役時代の話*1
今回はその2で、2014年の引退より後からのエピソードです。

引退中の新しい挑戦

一度引退した期間に新しく挑戦したもので驚いたのは、まず2016年のフロアダンスの公演。
アメリカのトップダンサー、シェリル・バークさんが、ダンスだけで構成する舞台をずっと夢見て、初めて実現した夢舞台 “Love on the Floor”。
彼女の夢の実現に、高橋大輔さんが是非必要だと、何年もオファーし続けていたらしい。

公演会場は日本なのに、出演ダンサー13名中、日本人は高橋くんだけ。
フロアダンスそのものが初挑戦なのに、否応なく一番注目を集める立場に置かれた高橋くんのプレッシャーは、途轍もなかったと思うし、高橋くんファンの方も、さすがに始まる前は、おっかなびっくりだったんじゃないでしょうか。

それが、公演初日からどんどん評判になり、10日間程の公演の最終日は、急遽立ち見席が出る超満員。
どんなものになるか全く分からなかった新しいものを、最初のスタートから見守って、大成功の瞬間に立ち会えたのは、ファン冥利に尽きる。
何より、引退後はややうつろだった高橋くんの目が、いきいきと輝いてキラキラしてたのが、嬉しく嬉しくて。

でもこれは、本当に先が全く読めないなかでの挑戦だったと思う。
ダンスだけでストーリを演じるシェリルさんのアイディアが、まず前例のないものだったし。
主演・演出のシェリルさんもだけど、高橋くん、本当に初心者でよく引き受けたし、よくやり遂げたなあ。

出来ない自分も人前に晒すとこから始められるって、本当にすごい度胸だ。
そして、めちゃめちゃに稽古をして驚愕のレベルの成長を見せた。
ホント信じ難いくらい超人的な事やり遂げてる人なのに、その過程ではちょいちょいグダグダしたり弱音吐いたりしてるのも、なんか愛すべきお方です(笑)

この時の高橋くんの姿勢は、その後の彼の競技選手としての復帰や、アイスダンス転向の決意とも、とても重なる。
当たり前だけど、つながってるんだな。

2017年、歌舞伎とスケートのコラボ “氷艶・破沙羅” で、演技や殺陣に取り組んで、見事に魅せてくれたのも、驚きました。
歌舞伎独特の間(ま)や殺陣などでの魅せる技術を学んだのは、その後の高橋くんのパフォーマンスに大きな影響があったと思う。ありがたや。

競技選手への復帰

でも何と言っても驚いたのは、2018年の高橋くん競技復帰の知らせ。

ひっくり返った。

引退から4年も経ってるのに?その時点で32歳なのに?
引退中にダンスの舞台公演も2回成功させて、歌舞伎とのコラボで演技まで身につけて、これからはエンターテイメント業まっしぐらかと思って、私なんぞワクワク待ってたとこだったのに。華やかな道がいくつも開かれてるように見えたのに。
なんで今になって???って。

高橋くんの理由は、ただ、スケートを取り戻したい、だった。
きっかけは、2017年全日本の山田耕新さんや山本草太さんの、全力の演技。
ただただの自分のベストを尽くす姿に、刺激を受けたと語ってた。
それを見て、”勝つため”じゃなく、”自分のスケートをする”のを目標に試合に出たい、と。

今の自分のベストを尽くすために試合に出るって、一見とてもシンプルでわかりやすいんだけど、彼の立場上は、実際にはとても難しい。

一度は世界チャンピオンにまでなったスター選手だから。
引退まで長く世界のトップクラスにいた選手だから。
彼の輝かしい栄光の「かつてのベスト」を沢山の人が記憶してる。
その沢山の人が観る試合で、4年のブランク後の「今のベスト」を披露するなんて、…自分の感覚で考えたら、恐ろしすぎて、もう想像だけで竦むんだけど…。

でも高橋くんは、他人の目や評価より、そんな怖さよりも、自分のスケートをしたい思いの方が溢れてたんだろうなあ。
評価が下がってもいいから、自分のしたいように一回やってみようと思った、と言っていた。(2019年「深イイ話2時間SP」)

ゼロからのスタートを公言して、地方大会から勝ち上がり、復帰の全日本でなんと準優勝までいってしまったのは、まあおまけの結果として。
選手生活を送る中、「スケートが好きだ」って気持ちを取り戻したのは、彼の復帰の一番の目的で、一番の収穫だったんじゃないか。

それにしたって、その目的への打開方法が、ホント、常人じゃないよー!笑

シングル競技最後となったSP「The Phoenix」は、ハードロックの縦ノリをツルツル滑る氷上で踊る、無茶振りにも程があるプログラムだった。
そのせいであちこち体を痛めて全日本は満身創痍になってたけど、全日本後のアイスショーで滑ったフェニックスでは、燃やし尽くして頂きました。

シングル選手として、最後の最後まで、破天荒な開拓者の演技だった。
数々の常識破りのプログラムで何度も驚かせて楽しませてくれて、本当にありがとうございます!

アイスダンス競技への挑戦

で、その翌年からはアイスダンスへの転向

発表された時は、驚いたというか、面食らったというか、いやホント、高橋くんの進むスピードが速すぎて、自分は全然追いつけない。笑
競技復帰に驚いて、やっと慣れたと思ったら、競技転向って。嘘やろ。(本当だった)

高橋選手の決意の理由は、復帰のときと基本は同じ。
スケートを突き詰めたいから。

スケートで人と組んで作り出す表現も手に入れたい、と高橋くんが思ってるところに、競技への誘いの声を掛けられた。
高橋くんに声を掛けた哉中ちゃんは日本のトップアイスダンサーで、だから彼女にはもっと相応しい相手がいるはずだと迷って、それでもずっと高橋くんを待ってた哉中ちゃんに応える形で、ダンス競技への挑戦を決めた、と。

ってそうは言っても、元の競技への復帰だって大概だけど、競技転向って初心者になるってことだ。やったことない技術の習得だ。スケート靴も違えば、トレーニング方法から違うような競技。

何回も繰り返してしまうけど、一度は男子シングルで世界王者になった人なんだ。
それが、別の競技に試合で出ようって、初心者として人前に出るってことで。そんで他人に採点とかされる訳で。数字で。
…どんだけの覚悟が必要か…。

そしてやっぱり知ってたけど、高橋くんは正しかった。
アイスダンスは、スケートを突き詰めるために、是非必要な道だったと、今なら分かる。
高橋くんがまさにその進化を見せてくれてる今なら。

幾つになっても人は成長できると自分も思ってるけど、私はその”成長”は、内面の成長のつもりで使ってた。フィジカル面だとやっぱり20代までかな…と。
鍛錬で、ある程度力を保つのは出来ても、伸ばすのは流石に…と。

それが、高橋大輔さん、35歳(今日36歳!)にして、ゴリゴリにフィジカルに成長してらっしゃいます!そして技術を伸ばしている。しかもすっごい勢いで!

本当に私は思いつかなかった。考えが浅かった。
スケート技術が30代で格段に上がるとは。
高橋大輔を誰だと思ってたんだろう。今まで何度も常識を吹っ飛ばされてきたのに。

またです!

自分の中の人体への観念を吹き飛ばされました。
上手くなるのは分かってたけど、こんなにガンっと上手くなるなんて。

あまりの斜め上っぷりに、こっちは呆然と固まったりもするけど(笑)、型の破り方が素晴らしく鮮やかで結局いつも惚れ惚れする。
そして、自分の考えが、どんだけ狭い前例の枠組みに囚われてたのか、その度に気づかされる。
高橋くんを見てると、自分も解放される気がするし、頑張ろうって思います。

本当にいつもいつもありがとうございます!
と、今日が誕生日の高橋大輔さんに、遠くから叫びたくて書きました。

そして

お誕生日おめでとうございます〜〜〜!!!

あ、あと、アイスダンサーデビュー2年目、国際大会わずか4試合目にしての世界選手権!楽しみに待ってます。(追:"9年振り9回目"(過去8回がシングル)って紹介もよく目にするけど、どっちにしてもえらいこっちゃ。笑)
楽しみ〜〜〜〜〜〜